第274話リーダーシップを発揮する光

光がうろたえていると、春奈に続くのは涙目の華奈。

「由香利さん、私だってね、フツツカだけど、伊勢の巫女なの」

「それを全くナイガシロにして、光さん独占計画って何事?」

「どうして自分だけ、いい思いをしようと思うの?」


ただ、華奈の抗議は、由香利に簡単に切り返された。

「あのね、華奈ちゃん、今回のバトルは住吉様の御意向とご心配が強いの」

「それに華奈ちゃんね、あなた伊勢様の呪文も間違える、しっかり覚えていないでしょ?それって危険なの、マジで」

「そのうえ、住吉様の海の祝詞できるの?勉強したことあるの?」

「そもそも、その本が華奈ちゃんのお部屋にあるの?」

由香利の切り返しは、実に厳しい。


華奈は、また涙目。

「だって・・・少女漫画とお人形を置く場所が多くて・・・」

ほぼ、理由になっていないけれど、必死に答えている。


ルシェール、由紀、キャサリンも文句を言いたい雰囲気のようだったけれど、珍しく、光がそれを制した。


「あのね、御不満はごもっとも」

「ただ、これは様々な要因とか状況を配慮しての計画」

「阿修羅君は当然で、住吉大神様、伊勢大神様、媽祖様、関羽将軍、それからポセイドンも参加する計画になるの」


ルシェールが、さっと光の前に立った。

「ねえ、光君、具体的にはどうなるの?」

「私たちの役割は?」


光は、おもむろに答えた。

「まず、今は阿修羅君が示して来た化学式と方程式を使う浄水薬を、ソフィーが作って来る」

「それを一応、実験して、おそらく大丈夫」

「その後は、佃の住吉様に献じる」

「住吉様の御霊力で、佃の住吉様から一斉に浄化薬を流す」

「媽祖様とポセイドンは、その監視役と邪魔する悪霊の退治を行う」


光は、そこまで言って、巫女全員の顔を見た。

「巫女様方は、癒し系と戦闘系に分かれてもらう」

「まず、癒し系の呪法は春奈さん、ルシェール、由紀さん、華奈ちゃん」

「戦闘系は、サラ、春麗、それから僕と金剛力士、八部衆」

「横浜から華国祥さん、つまり関羽将軍とその軍も、協力したいとの申し出がある」


その次に光はキャサリンにやさしい顔。

「キャサリンは、ソフィーと上空にいて欲しい」

「そして、戦況を連絡して欲しい」


キャサリンは、深く光に頭を下げている。


光の話がそこまで進んだ時点で、由香利が口を開いた。

「本当に抜け駆けみたいでごめんなさい」

「この悪霊退治が成功した時点で、しっかりとお礼をさせていただきます」

「うちの親父も是非にと」

由香利は、しっかりと頭を下げた。


その由香利に華奈が、早速反応する。

「わ!もしかして江戸の大親分?」

春奈も、超ニッコリ。

「え?海がきれいになったら、舟遊び?」

ルシェールは、お腹が鳴った。

「お刺身船盛かなあ、鍋もいい」

キャサリンは目を輝かせた。

「私ね、芸者さんって見て見たいんです」

サラも同調。

「着物姿って、外国人子女の憧れですよ、着てみたいし」

春麗もうれしそうな顔。

「お刺身もいいけれど、佃島だから、もんじゃ焼きもいいなあ」


様々、戦闘後のごほうびを期待する巫女たちの中で、由紀は光の顔をじっと見ている。

「光君、だんだん、上手にリーダーシップを取るようになってきた」

「ますます、好きになった」


光も、そんな由紀の顔に気が付いた。

光は、恥ずかしそうな顔で、由紀を見ている。



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