第263話光が語る「憧れの女性のタイプ」

光は、首をかしげて話し出した。


「うーん・・・憧れの女性のタイプねえ・・・」

「あまり考えたことはないけれど・・・」


とにかく話がモタモタするので、「候補者世代巫女」は、ハラハラとイライラが募る。


春奈

「まったく気に入らない、どうせ考えていないくせに、待つのが面倒・・・春奈さんって言えばいいのに、それで済むのに」

ソフィー

「どうして、ああ、ノロマなんだろう、竹刀で思いっきり頭をパシンしないと言わないのかな・・・竹刀がないから張り手でいいかな」

由香利

「きっと私さ、光君が手を握って一番顔が赤くなるのは私だもの、光君には二つ上くらいがいい」

由紀

「もーーー!またボンヤリ?唯一裸で抱き合った仲なんだよ?忘れたの?乙女が素肌さらしたんだよ・・・この無粋男!」

華奈にいたっては泣いてしまってどうにもならない・

「どうせ・・・私なんか・・・・未熟だもの・・・他のお姉さん方がすごすぎるしさ・・・」

ルシェールは腕を組んで、光の考えている顔を見る。

「うーん・・・憧れと妻は違うかもしれないなあ・・・光君は浮気者かなあ・・・でも、そんな使い分けるほど器用ではないしなあ」


また、キャサリン、サラ、春麗、周美鈴は、その祈りのスタイルを変えない。

キャサリン「アーサー王様、是非に・・・」

サラ「アルテミス様・・・お願いです」

春麗「九天玄女様、この私の想いを」

周美鈴「媽祖様・・・涙が止まりません」

とにかく、四人は必死に祈るのみ。


光は、それでも話すようだ。

「・・・えっとね・・・」

何とも間延びした声だけれど、特に「候補者世代巫女」は必死に聞きとろうとする。


「僕は・・・よくね、御茶ノ水とか、神保町に行くんだ」

光が次に発した言葉は、まず意味不明なこと。

御茶ノ水と神保町が、憧れの女性のタイプに何故、関係するのだろうか。


光は言葉を続けた。

「知っての通り、御茶ノ水とか神保町は本の聖地」

「実に様々な新刊と古本が数えきれないほどある」

「僕は、そこを歩いて、たまたま見つけた面白そうな本とか」

「文学全集とか、そういうのを見るのが好き」


楓が、苦笑して、光を補足する。

「あの・・・本が彼女じゃないから、ただ、光君の説明が下手なだけ」


光は、恥ずかしそうに、また言葉を続けた。

「音楽も好きだけど、そういう書物の世界も好き」

「実は音楽より、書物のほうが好きかもしれない」

「音楽をやっている人ってね、どうしてもステージに立って目立ちたがるの」

「自己顕示欲が強い人が多い」


ここでも楓が補足する。

「たとえば晃子さんみたいな、派手な感じの人」

「近所のピアノの先生もいたよね」


光は頷いて、話を続けた。

「僕は、たとえば源氏物語を全部読んでいたり、万葉集から新古今まで読んだことがあるとか、そういう女性には興味がある」

「もちろん、他の文学でも、様々な歴史の知識でも、たくさん本を読んでいる人」


「本をたくさん読むってことはね・・・」

光が真顔になった。

「自らの知識を深めることになるんだけど、大切なことは・・・」


光は、一呼吸した。

「ゴウマンにならないんだ」

「旅と本は人を謙虚にする・・・フランスのことわざにも、そんなのがあった」

「謙虚に学ぶ姿勢がある女性は、いいなあと思うよ」

「もちろん、男性でも同じだけれど」

光の言葉は、そこで一旦終わった。


母親世代巫女と華国祥は、ウンウンと頷き、候補者世代巫女はポカンとなっている。

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