第257話vs横浜有名私立校暴行集団(4)

大きなサイレンを鳴らして走って来た警察車両が、港の見える丘公園前で停車。

その中から、数人の警察官が飛び出して来た。

また、遠くから同じような警察車両のサイレンも聞こえて来る。

そのサイレンの音も次第に大きくなって来ることから、この公園をめざして来るのだろうか。


さて、警察車両から飛び出して来た警察官たちの表情は厳しい。

まず、キャサリンとサラに倒されてしまった「横浜有名私立高校」の若者たちを助け起こし、次にそのリーダーに事情を聞く。

リーダーは、その右手にはピストル、左手にはハンティングナイフを持ったままの状態。


一番年長の警察官が、リーダーに尋ねた。

「隆坊ちゃま、これはどうして?」


「隆坊ちゃま」と呼ばれたリーダーは、不機嫌な顔。

「ああ!俺たちが街のゴミを整理しようとしていたら!」

「あそこに、そのゴミの前に座っている生白い貧乏人のガキが文句を言ってきた、よそ者のくせに」

「おれたちの崇高な社会慈善事業だぞ?それに文句をつけてくるんだ」

「よそ者で、貧乏人のくせに!」」


年長の警察官は、フンフンと頷き、厳しい顔を更に厳しくさせ、光の顔を見ている。


リーダーは、言葉を続けた。

「そしたらな、あそこに立っている若い女も文句を言ってきやがった」

「『この卑怯者!今度は集団で女性を襲うの?』」

「『この日本の!横浜の男子って、そういう人種なの?』だとさ」

「ありえねえだろ?そんな侮辱発言」


年長の警察官は、またウンウンと頷き、ソフィーを厳しく睨み付ける。


またリーダーが続けた。

「俺たちだって、社会慈善事業だ、この横浜の街を浄化しなければならない」

「あんな、よそ者や女に、文句を言われる筋合いはない」

「だから、それにはかまわず、社会慈善事業を遂行しようと思ったのさ」

「そしたら・・・」

リーダーの目つきが、きつく変化した。


「あの毛唐の娘二人が、おれらに襲い掛かって来た」

「まあ、投げ飛ばすやら、蹴飛ばすやら!」

「とんでもない暴行行為だ!」

「俺はな、あいつら悪魔かと思った」


そのリーダーの言葉で、年長の警察官は、光とソフィー、そしてキャサリンとサラを手招き、そして怒鳴った。

「おい!お前ら!」

「そこの男子!女、女子二人!」

「逮捕する!いいか!」

「とんでもないことをしでかした!」

「このお坊ちゃまに逆らうなんて!」


その年長の警察官の言葉に呼応して、他の警察官が手錠を持ち、光たちを取り囲む。


ただ、その様子を見ていた通勤者や学生、市民たちからは、抗議の声が上がり始めている。


「マジですか?あの高校生、自分たちから、あの女の子に襲い掛かっただよ?」

「それも武器を持っていない女の子二人相手に、金属バットやゴルフのアイアンを持って・・・」

「それで、ポンポン投げられて、蹴り飛ばされたってね、どうみてもあの女の子の正当防衛だって・・・」

「それにさ、警察の人って、何であのリーダーの言葉だけを鵜呑みにするの?」

「うん、リーダー・・・ピストルとナイフ持ったままだよ?何でそっちを咎めないの?」


その声を上げている人々の中に、何かを思い出した人がいるようだ。


「あ・・・聞いたことある・・・」

「え?何?」

「うん、あのリーダーってね・・・弁護士一家で、お父さんが弁護士協会のお偉いさんなんだって・・・マスコミにも影響力が強いみたい」

「それでか・・・警察が手出しできないっていうか、逆に手下に?」


少しずつ、「横浜有名私立高校のお坊ちゃま集団の実態」が明らかになりつつある。

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