第256話vs横浜有名私立校暴行集団(3)

「横浜有名私立高校」の男子学生たちは、やはりキャサリンとサラの敵ではなかった。

一気呵成に金属バットやゴルフのアイアンを持ち、襲い掛かるけれど、即座に投げ飛ばされたり、足をすくわれたりなどで、きれいな制服ごと地面に叩きつけられてしまう。

なかには、朝の湿った花壇にまで飛ばされ、泥だらけになっている学生も数名いる。

また、この騒ぎを聞きつけたらしい、朝のジョギング客や通勤者や通学する人が多数集まっている。


「ねえ?あの私立高校だよね」

「うん、あのお金持ちのお坊ちゃん高校」

「集団で女の子?あ?外国の女の子に襲い掛かって・・・」

「そしてブザマに投げ飛ばされたり、蹴り上げられたり?」


「・・・あれ?女の子の二人の後に・・・」

「可愛い男の子と・・・ホームレスの人?」

「うーーん・・・よくわからないけどさ・・・警察呼ぶ?」

「来るかなあ・・・」

「え?来ないの?」

「聞いたことある、あの私立高校関連の事件はお咎めなしになるみたい」

「へえ・・・だからやりたい放題?」


集まった人たちが、そんなことを言いながら不安気に見ていると、どうやら「有名私立校若者集団」のリーダーが、業を煮やしたらしい、大声で叫び始めた。


「ったく!」

「てめえら!役に立たねえ!」

「女二人に何で手こずる?」

「だからテメエラ、俺みたいにビッグになれねえんだ!」

「あーーーしちめんどくせえ!」

「いいから、どけ!」

「俺が始末する!」


それでも、その若者集団は一定の統率が取れているらしい。

リーダーの叫び声に、さっと対応、キャサリンとサラの前を開けてしまう。

というよりは、何度も軽々と叩きつけられていたせいか、戦意喪失の表情を見せている。


キャサリンとサラが、再びそのリーダーに正対して、戦闘の構えを取ろうとすると、今度はソフィーが歩いてきてキャサリンとサラの真ん中に立った。

そして、そのリーダーを厳しく見据え、大きな声。


「おい!そこの坊や!その内ポケットに入っているものは何?」

「ヤッパかい?オハジキかい?両方かい?見せてごらん?」

「お父ちゃんにでも買ってもらったのかい?」

「なっさけないねえ!その年になって、おもちゃかい!」


いきなりのソフィーの大声に、少し慌てたリーダーは自分から見せることはできなかった。(というよりは、全く対応ができなかった)

ホームレスの老人の横に座っていた光が、目を輝かせると、いきなりリーダーのジャケットが空に舞い上がてしまった。

そして、右手にはピストル、左手にはハンティングナイフを持つリーダーが、取り囲んだ周囲の前に、明らかになってしまった。


「えーーー?マジ?あれ・・・本物?」

「どうみても・・・おもちゃじゃないって!」

「って・・・そんなものを持って、女の子を襲うの?」

「その前にホームレスの人だよ・・・あの可愛い男の子がかばっているけれど」

「怖い高校だなあ・・・噂には聞いていたけれど・・・」

「警察は何故、補導しないの?」

「ああ、それは・・・」

周囲の人々がヒソヒソと話をしていると、警察車両だろうか、大きなサイレンの音が近づいて来た。


右手にはピストル、左手にはハンティングナイフを持つリーダーの怒りの表情は途端に変化した。

どう見ても、警察車両のサイレンを恐れる表情でない。

むしろ、安心したようなニヤケの表情。


「は?アホくせえ!よくわからないけれど、ジャケット飛んじゃった」

「まあ、いいや、そこの女どもと、そこのガキ!」

「この横浜で、俺様に歯向かったら、どうなるのか!」

「思い知らせてやる!」


リーダーは、いかにも楽しそうに警察車両のサイレンを聞いている。

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