第247話華清宮の温泉にて

白い霧の中、一番最初に声を出したのは、華奈だった。

「ねえ、すごくいい香りがするんだけど」

「それで温泉に入っているみたいなんだ、どうして?」


次に声を出したのは楓。

「うん、何だろう、いい香り、それと蕩けるような温泉、こんなの奈良にない」


由紀の声も聞こえた。

「マジで、いい温泉、香り風呂かなあ」


由香利の声も聞こえる。

「さっき、楊貴妃とか何とかって聞こえたから、そうなると・・・そこの温泉なのかなあ、飛ばされたのかな」

そんなことを言っていると、少しずつ白い霧が晴れてきた。


そして次に聞こえてきたのは、ルシェールの声。

「わ!すっごい広い温泉、え?ここ・・・宮殿!中国の宮殿の温泉なの?」

「でも、あ!いるのは私たちだけ?光君がいない!」


春奈の声も聞こえてきた。

「うわーーー!すっごい広くて豪華な温泉!」

「それも露天?へえ・・・滑らかなお湯だなあ」

「空には鳥が飛び、花の香りがする」

「でもあれ?光君がいないよ?」


圭子の声が聞こえた。

「ああ、光君は華国祥さんが、針治療するらしい」

ソフィーが圭子を補足する。

「滋養強壮の針治療をしてもらうって、言っていた」


キャサリンの声も聞こえてきた。

「私も心配なので付き合うって言ったんですが」

「まあ、心配ないと思います、邪念はありませんでしたから」

「それより何より、いい温泉です、これはこれは・・・お肌がたまらない」


サラはうれしそうな声。

「ほんと、いい温泉ですよ、全ての疲れも消える、その上、お肌にいい」

「ずっと入っていたい」


次に聞こえてきたのは、光の叔母奈津美の声。

「へえ・・・私の伊豆の温泉にも使いたいようなお湯だなあ」

「温まるし、お肌にやさしい、若返るかも」


ニケの声もする。

「そうだねえ、入った途端、身体の芯からホコホコしている」

「身体に張りが戻ったような感じもする」


ナタリーの声も聞こえてくる。

「とにかく広い温泉だから、遠く見えるだけだね」

「でね、胸に張りが出てきた、これならルシェールにも負けない」


春奈の母美智子の声も遠くから

「この温泉を持ち帰って分析するかな、何とか再現して春奈より若返ることにしよう」


華奈は、それでも光を気にする。

「うーーー・・・でもさ、光さん、針治療なんて大丈夫?」

「痛くないのかなあ」

「それに春麗と周美鈴は?まさか付き添いしないよね?超心配なんだけど」


楓は、その華奈に答えた。

「大丈夫だって!あの無粋な光君でしょ?」

「そんな簡単に女に心を奪われないって!」

「それより何より、あのナマケ心を治療してもらえばいいさ」

と、華奈の反応など、何も気にしない。


由紀の声も聞こえてきた。

「華奈ちゃん、楓ちゃんの言う通り、春麗と周美鈴は光君とは別行動だよ」

「あの子たちは、あそこ、お風呂に入っている・・・でね、すごい美形だよ」


華奈が「え?」と由紀の指さす方向を見ると、確かに春麗と周美鈴の姿が湯煙の向うに見えている。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます