第188話蜘蛛の行方 ソフィーの嘆き

光の顔は、厳しくなった。

そしてルシェールの顔を見る。

「この蜘蛛は、しかるべき相手に預けることになる」


ルシェールも光の表情の変化を見て取った。

「・・・そうなると・・・政府機関?」


光が頷くと同時に、ソフィーが顔を見せた。

そして、まだバスローブ姿の光を見て少し文句。

「・・・ったくノロマだなあ、でもそれはいいけどさ」

と、蜘蛛をしっかりと見る。

そして光に尋ねた。

「この蜘蛛ね・・・」


光は、厳しい顔で、ソフィーに

「その通り、これをしかるべき機関に」

「それから蜘蛛の背中の呪文は暗号」

「この解き方を知るのは阿修羅のみ」


その光の言葉で、光のバスローブ姿に文句顔のソフィーはもちろん、全ての巫女が姿勢を正すと。光は、両腕を左右に一旦開き、そして胸の前で合わせた。

阿修羅のポーズの感性と同時に、蜘蛛の姿が消えている。


それを見た巫女たちは、騒然。

部屋の中をキョロキョロと見回すばかり。


華奈

「すっごい!でも、これを見たことあるよ」

華奈は、以前、この「飛ばし」の技を見たことがあるという。


その記憶を、由香利も思い出した。

そして、華奈の言葉を補足する。

「そう言えば、清水君の事件の時だよね」

「あの時は、馬鹿そのものの若い警察官が、産直市帰りの老人女性が運転する軽四トラックに、なんと煽り運転を行った」

「軽四トラックを運転する老人女性は、全くの安全運転だったんだけど、突然警報鳴らして警察車両に猛スピードで煽られて、気が動転してしまってスーパーの前の道を歩いていて清水君をはねてしまい、また老人女性は壁に激突して即死」

「光君とか私たちは、当然警察官に抗議をしたんだけど、逆に公務執行妨害でつかまりそうになった」

「また、その悪徳警察官は、A新聞社の当時のお偉いさんの息子」

「そして、その取材で、A新聞社の記者がうるさくつきまとってきたので、飛ばしの技を使って飛ばしちゃったの」


ただ、ソフィーは、光の顔を見て、少々不安な顔。

「それでね、光君、いったい、どこに飛ばしたの?」

そう聞きながら、目を閉じている。

そして、その場所を読んでしまったらしい。

口を尖らせている。

「・・・マジ?私の部屋?」

「蜘蛛の巣の部屋になるの?」


つまり、ソフィーが透視の技で読んだ「蜘蛛の飛ばし場所」は、ソフィーの部屋ということになる。


光が口を開く。

「だって、ソフィーは政府機関でしょ?」

「貴重な蜘蛛だし、暗号もあるしさ」

「結界も強い部屋だしさ」

「その上、ソフィーが管理保護すれば万全と思うよ」

至って、平静、普通の話し方である。


ソフィーは、それでも抵抗し、文句を言う。

「少なくともさ、私に一言あってもいいでしょ?」

「まあ、光君の言うのも、ごもっともだけどさ」

「ったく・・・気に入らない・・・」


しかし、光は途中から、何も聞いていない。

それよりは、モゾモゾと動き出している。


その動きを楓が読んだ。

「光君、着替えたいってこと?」

光は、ニッコリと頷いている。

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