第172話またしても光の無粋 十一面観音様とご対面

ルシェールも、光の視線にすぐに気がついた、

そして、華奈を「ブンと押しのけ」光と腕を組んでしまう。


押しのけられた華奈は、ほぼ涙顔になっているけれど、その前の「華奈の言動」が他の巫女たちには、癪にさわっていたらしい。

全くフォローの一言もない。


ルシェールは、光に確認する。

「ねえ、マリア様のことでしょ?光君」


光も、その通りと頷いてルシェールに

「あそこに立って天を見つめているマリア様って、大好きなの」

「すごく純真で清らかな感じ」

「今日は時間がないけれどさ、明日晴れたら行きたいなあって」


押しのけられた華奈が「純真で清らかは、まるで私」とポツリするけれど、これも他の巫女から無視されている。


さて、ルシェールは、そんな光の言葉にニッコリ。

「うん、わかった、光君、それはお喜びになります」

と言いながら、ぐいぐいと光の腕を組む力を強くする。



そのサロンバスは、東大寺四月堂前に到着した。

周囲には手向山八幡宮があり、三月堂、二月堂等の大きなお堂もあるけれど、四月堂については確かに、小ぶりなお堂になっている。


「さて、お顔を」

光は、その腕をサッとルシェールから抜き、サロンバスから降りてしまった。


ルシェールあ然。

「マジ?早すぎ!ほんと!無粋!呆れる!」

と思うけれど、少し離れて華奈は、小さくガッツポーズをしている。


ただ、他の巫女たちは、そんな華奈とルシェールのバトルなど興味がない。


春奈はニヤリ。

「どうせ光君でしょ?誰と腕を組んだかなんて、忘れているって、光君にロマンスを求めても無駄」

ソフィーは、全くどうでもいい感じ。

「もう関心は観音様に移っているしさ」

そして、他の巫女は、同じ思いなのでコメントすら出さない。


光は、そんな巫女たちなど気にしない。

周囲も何も見ず、真っ直ぐに四月堂に入っていく。

そして、正面に立つ十一面観音をじっと見つめている。


その光に、他の巫女たちも続いた。

ただ、狭いお堂なので、ほぼ一杯な状態。


由香利が、スッと光の横に立った。

「すごい・・・可愛い・・・きれい・・・はぁ・・・」

「こんな・・・きれいな観音様、はじめて・・・」

由香利は涙ぐんでいる。


続いて由紀も光の隣に立った。

「ほんと・・・超美少女アイドルも、この観音様にはかなわない」

「お顔といい、その表情といい、スタイルといい・・・」

「お逢い出来てうれしい・・・光君、ありがとう」

由紀は観音様から目を離せなくなっている。


その由香利と由紀の発した言葉が全てだった。

他の巫女たちも、同じように感じたらしい。

結局全員が、涙を流し、十一面観音から目を離せなくなっている。



光と全ての巫女の目が、十一面観音に集中していると、異変が発生した。


まず、光の身体全体が、輝きはじめた。

そして、それに呼応するかのように、十一面観音が輝きはじめている。




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