第169話ご対面 光はまた・・・

大騒ぎの楓の後からでてきたのは、春奈の母美智子だけではなかった。

楓の母にして光の父の姉つまり叔母の圭子と、光の母の妹、これも叔母の奈津美の顔が見える。

続いてルシェールの母ナタリーとソフィーの母ニケもそろっている。


その中で、まず圭子が大騒ぎを続ける楓を、ブンと押しのけた。

まるで有無を言わせない力強さ、さすが楓の母である。

そして、光たち一行に、しっかりとご挨拶。


「はい、お待ちしておりました」

「東京での様々なご活躍、ご苦労様です」

「それから、キャサリン姫、サラ姫、春麗姫につきましても、本当にわざわざ御苦労さまです」


楓が「・・・姫?」と文句を言うけれど、圭子は楓の足を踏んづけ、全く意に介しない。


キャサリン、サラ、春麗も頭を下げる。

キャサリンはいつもの通り、キチンと礼をする。

「ご高名な圭子さま、お目にかかれて光栄です」


サラも丁寧な頭の下げ方。

「この巫女界でもトップクラスの圭子さま、いつかゆっくりお話を伺いたいと思っておりました、今回はお招き本当に感謝しております」


春麗は、いつもにも増して明るい。

「圭子さま、春麗です!上海に住む母も圭子さんとお話をしたいって、言ってました、本当に逢えてうれしい!」



さて、そんな対面が行われているけれど、光は途中から落ち着かない。

しきりに、動きたい様子。


それを春奈が注意する。

「何焦っているの?光君」

「今は大切なご対面の時なんだよ」


ソフィーも、そんな光にいら立った。

「やりたいこととか、行きたいところがあるんだったら、はっきり言いなさい」

「わかっている?警備だってあるんだから」

少し言い方がきつい。


そんな光に他の巫女も注目していることが、光はようやく気がついたらしい。

ポツリポツリと話し出す。

「少し時間が遅いし、歩くにはちょっと大変なんだけれどさ」

しかし、それでは、全く意味が不明。


もともと光の言葉は、ほとんど曖昧になるけれど、言葉をそれでも続けた。

「大仏殿ではなくて、四月堂に行きたい」

「呼ばれているような気がする」

と、そこで言葉が止まった。


その光の心理は、特に奈良育ちの巫女には、わかりやすいものだった。

奈良育ちの巫女を代表して、叔母の圭子が笑いながら、光の心理を代弁する。


「要するに光は、東大寺の四月堂に行きたいってことだよね」

「それは、何か呼ばれている気がするということから」

「しかし、光君は、今のホテルからあまり歩きたくない」

「それは歩くと疲れる距離ということと、少々拝観時間の終了が迫っているというこだね」


光には、「アタリ」だったようだ。

ウンウンと頷いていると、周囲の巫女はボツボツと文句。


ソフィー

「素直に車出してって言えないの?情けない」

春奈

「そんなに辛い距離じゃない、結局ナマケモノ、体力不足、それで高校三年生の男子?呆れてものが言えない」

「春奈さんの言う通り、呆れる、虚弱体質、私なら歩く、たまには走ったら?」

ルシェールまで呆れた。

「はぁ・・・可愛いけれど、世話焼ける・・・焼きたいけれど」


さて、華奈は「このスキに」とばかり、光の手をサッと握っている。

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