第163話内宮(1)

伊勢うどんと、赤福を楽しんだ光と巫女たちの一行は、伊勢神宮内宮に向かうことになった。


ここでは由香利が、説明をする。

「外宮と内宮の距離としては、約5・5キロとなります」

「歩いたとすれば、約1時間」

「江戸時代であれば歩いたのですが、今回はバスでの移動になります」

「およそ、15分ほどと理解してください」


かなりわかりやすい説明なので、誰からも声はでないけれど、それでも春奈は光をイジリたくなった。

春奈

「光君みたいなナマケモノだと、歩くのが面倒だし、すぐに疲れるっていうからこうなるんだよ」

光が、その言葉にうろたえると、すかさず春奈がもう一言。

「ねえ、光君、いつか二人だけでお散歩しようよ、いいでしょ、疲れたら癒してあげる」

今度は光はキョトンとした顔。

全く反応ができない。


ただ、春奈の「希望」などは、他の巫女からは「やらせない、できるわけない」と思われているので、結局話は発展する気配のカケラひとつもない。


さて、一部にそんなどうでもいい話があったけれど、一行のバスは内宮の駐車場に到着した。


ここでも、由香利が説明。

「まず、宇治橋を渡ります」

「宇治橋は、五十鈴川にかかり、内宮の入口となります」

「日常の世界から聖なる世界へ、神と人とを結ぶ架け橋といわれます」


日本人巫女よりも先にキャサリンが反応した。

「すごく清らかな世界に入っていくような感覚があります、背中がブルブル震えてきました」


サラも神妙な表情で橋、川、そして大鳥居を見ている。

「とにかく余計なことは、考えられません、そのまま歩きます、あの大きな鳥居のパワーがすごくて・・・」


春麗は、顔が厳しくなった。

「うん、この白い木の力をすごく感じる、生半可な気持ちでは参拝できない」


美紀は、そんな外国人巫女の様子をうれしそうに見る。

そして、娘の華奈にも声をかけた。

「華奈も、ここが本当のルーツなんだから、しっかりとみんなを案内なさい」


華奈も、それはその通りと思ったのか、先頭に立って歩き出した。

全員が橋を渡り終えると、華奈は一旦説明。

「まず、饗土橋姫神社にまいります」

「ここの神様は、橋の守り神」

「宇治橋から悪いものが入らないようにお守りしています」

「宇治橋は20年に一度、かけかえられるのですが、その時に、このお社で宇治橋渡り始めのお祭りを行います」


全員が神妙に参拝後、また歩き出した。

今度は美紀が説明。

「次は神楽殿になります、今日はそれほど時間がないので、短縮コースにするよ」

「それで、神楽殿は、宇治橋から正宮に至る参道の中間ぐらい、左側にある銅板葺、入母屋造の建物」

「もともと、神楽とは、神遊びの意味」

「この国の古来から、神事にはつきものの歌舞」

「この神宮では、天照大御神の広大な御神徳に感謝をささげるために神楽を奏し、皇室の弥栄、国家の平安、家内安全、心願成就などの御祈祷を行います」


そんな説明の後、全員が神楽殿を特別に見学。

お札も売っているので、それぞれが欲しいものを、買っているようだ。


さて、神楽殿の見学も終わった。


今度は由香利が、全員に声をかけた。

「それでは、内宮御正殿に向かいます」


その言葉で、全員の顔が引き締まっている。

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