第162話伊勢うどんと、華奈の想い

結局また全員がサロンバスに乗り、今回は美紀が説明を始めた。


「伊勢うどんとは、三重県伊勢市を中心に食べられるうどんのこと」

「たまり醤油に鰹節やいりこ、昆布等の出汁を加えた、黒く濃厚なつゆを、軟らかく煮た極太の緬に絡めて食べます」

「徹底的にコシをなくした極太麺と濃厚なタレは、コシの強さとさっぱりしたつゆが持ち味の讃岐うどんとは、全然違うものになるよ」

「麺を茹でる時間としては、非常に長く、通常のうどんが15分程度であるのに対して1時間弱ほど」


それを聞いている巫女は様々。

春奈

「ふむ、何となくは知っているけれど、私は奈良育ち、にゅう麺ならわかる」

ソフィー

「私は途中から鎌倉だったから、関東系のしょっぱい汁が好き」

由紀

「うーん・・・食べてみないとサッパリわからない」

ルシェール

「私も話には聞いたことがあるけれど・・・かなり歴史があるのかな」


そのルシェールの言葉に、由香利が反応した。

由香利

「そうなの、歴史は古い」

「江戸時代よりもっと前かな、ここに住んでいた農民たちが食べていた、地味噌のたまりをつけたうどんがルーツ」

「もともとは、農民の賄い料理、できるだけ手間がかからず延ばす手間がいらない太い麺と、刻むだけのネギだけが具」

「それと、伊勢神宮に参拝するお客も多かったので、すぐに参拝客に提供できるように常に茹で続ける」

「あまり、茹で時間を気にしなくてよいコシのないうどんが適していたのかな」「特に、神宮をめざして長旅をしてきて疲れている人にもすぐに出せる食事、消化もいいし、麺が柔らかいから食べやすい」


少し黙っていた華奈が口を開いた。

「とにかく食べてみないとわからないよ、独特だから」

「最初は驚くかも」


さて、そんな話になっていたけれど、サロンバスは、伊勢うどんの店に到着した。

そして、全員がテーブルにつくと、やはり伊勢うどんは出て来るのがはやい。

一斉に食べ始めることになった。


「へえ、マジで柔らかいし、食べやすい」

春奈

「ふむ、タレが塩辛いと思ったけれど、甘みも強い」

ソフィー

「そうか、疲れが取れるような感じ、塩分と糖分補給?」

由紀

「へえ・・・マジで知らなかった・・・でも美味しい」

ルシェール

「参拝客が多くても、これならすぐにですね、よく考えてある」

春麗はフンフンと頷いている。

「中華でも汁なし麺があるけれど、それに近い」

サラも、それに反応した。

「パスタでも、シンプルなペペロンチーノみたいなのがあります、そのほうが麺の味わいがはっきりわかる」

キャサリンも美味しそう。

「わ!この味覚は初めてです、アメリカでもイギリスでも、この発想はありません」


巫女全員は、あっと言う間に平らげ、デザートで赤福まで食べている。


それを見た華奈は、思った。

「やはり来てよかった」

「何より、光さんが伊勢うどんを食べているのが、メチャうれしい」

「光さんが食べたいって言いだしたのも、うれしい」

「いつかは、私が光さんに作ってあげたい」

「光さんに、美味しいって食べてもらえるような、伊勢うどんをつくりたい」

「・・・だって・・・私は、伊勢がルーツだもの」

華奈は、光の食べる姿から、目が離せない。

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