第161話お弁当談義、抜け駆けができない光

その後は、お弁当談義で持ち切りとなってしまった。


春奈

「そうねえ、サンドイッチもいいけれど、ご飯のお弁当の方がいいなあ」

ソフィー

「公安でも、ドカ弁みたいな人もいるよ、まあガツガツ食べている」

由紀

「様々アレンジができるし、気取りがなくていいなあ」

由香利

「光君は去年の夏までは、フルーツクリームサンドだけだったから、それが心配だったから、お弁当を作ってあげたの」

ルシェール

「そうですね、栄養のバランスが出来ていない」


美紀はずっと黙っている光を見て、少し話題を変える。

「まあ、男子高校生の一人暮らしだったんだから、しかたがないさ」

華奈もそんな感じ。

「掃除とか洗濯は、こまめにやっていたけれど、お弁当とか食べるものだけは不安でした」


キャサリンは、お弁当とランチに話を戻した。

「アメリカだと、子供の頃のお弁当はクラッカーとリンゴとアーモンドバター・サンドイッチと・・・ヨーグルトくらいかな」

「それと学食があって、指定のピザとかパスタが多いのかな、もちろんサラダも付きます」

「でも、日本のような、お弁当形式は見たことがない」


サラは、フンフンと話し出す。

「私は途中でローマの中学に入ったんですが、パニーノを買って持ってきて食堂で食べるとか、日本人のお弁当のように、タッパーに前日たくさん目につくったペンネなどのパスタを入れてきて、レンジで温めて食べましたね」

「それと、お肉料理も少し残りをタッパーに入れてきたり、生ハムやサラミ、チーズを持ってきてパンと一緒に食べたりしました」


春麗もお弁当、ランチ談義に乗って来た。

中国の事情を話し始めた。

「中国だと、基本的に冷たい料理は食べない、必ず火を通すなど温めて食べる」

「だからお弁当を作ったにしても、必ずレンジを使います」

・・・・・


様々な談義が続くけれど、光は全く無関心。

それよりも、巫女たちから離れて、サロンバスの運転手をしている由紀の叔父の刑事に何かを話しかけている。


その姿を見て、由紀はすごく気になった。

ついつい走って、光と叔父の前に。


由紀

「何話しているの?」


光は、少し恥ずかしそうな顔。

「あのね、何かお腹が、しっくりこなくてさ」


しかし、それでは、由紀に意味がわからない。

由紀は、光の目をじっと見る。

そして、すぐに理解した。

「ねえ、光君、違うものを食べたいってこと?」


光はまた恥ずかしそうな顔。

「うん、ここまで来たんだから、伊勢うどんと、赤福を食べたいんだけどさ」

「でもね、みんな食事を済ませたしさ、だから刑事さんと一緒に、小さなお店に入って二人で食べようかなと」

「・・・巫女さんたちは、外宮を散策でもいいけれど」


つまり、光としては、豊受大御神の食事もいいけれど、伊勢名物のうどんを食べたい、しかし、巫女さんたちにそれを聞く勇気がないということになる。


しかし、光のそんな懸念は、全く不要だった。

光と刑事、そして由紀の会話など、巫女たちにはしっかり聞き取られていた。


「抜け駆けは許しません」

ソフィーの言葉が、全てを表していた。

結局、全員で伊勢うどんの店に向かうことになった。

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