第157話お伊勢参り(8)外宮正殿前、由香利の秘法

光と巫女たちは、由香利と美紀の案内で、伊勢神宮外宮の御垣内に入った。

そして御正殿の前に立った。


光は、ただじっと見ているだけになっているけれど、巫女たちは様々。


春奈は、感極まった様子。

「とにかく清新にして、厳か・・・ずっしりとした歴史の重み」


ソフィーも、かなり真顔。

「うん、このゾクゾク感はすごい、さすが聖地」


由紀は、うれしそうな顔。

「日本古来の力ですね、大らかにして、すごく安心できる」


ルシェールも感激気味。

「とにかく、すごいパワーを感じます、大自然そのもののパワーというか・・・」


キャサリンは、ますます背筋が伸びた。

「モヤモヤが、この御垣内に入った時点で、全て無くなって、御正殿を前にした時から、身体がすごく熱くなって・・・」


サラは、涙を流している。

「私は、もう、この中に入った時点で、うれしくてしかたがないんです」

「ギリシャの故郷の風景とは別世界だけど、懐かしくて仕方がない、大きな力で包まれている感じ、何故かはわかりませんけれど・・・はぁ・・・幸せ」


いつもニコニコ顔の春麗も、かなり真面目な顔。

「これこそ、ピュアっていうのかな、真実というか、その重みがすごく気持ちがいい」


さて、黙っていた光は、御正殿の前に立つ、由香利、美紀、華奈の変化に注目している。

「あの三人、さすが伊勢大神様の巫女だね」

「特に御正殿の前から、身体全体のオーラがすごい」


そのオーラは、他の巫女も感じていた様子、全員が目を細めていると、由香利が光の前に歩いて来た。


その由香利はにっこりと、光に声をかけた。

「ねえ、光君、目を閉じてくれる?」


光は、

「え?うん」

と目を閉じると、由香利は光に向かって不思議な呪文を唱えだす。

また、由香利の呪文に合わせて、美紀と華奈の声も聞こえてきた。

どうやら、三人の巫女で、呪文を唱えているらしい。


そして、その呪文は意外と、すぐに終わった。

由香利の声が、また光の耳に飛び込んできた。

「はい、光君、準備できたよ、目を開けて」


光は、「え?準備って何?」と、首を傾げながら、目を開けた。

そして、腰が抜けるほど、驚いた。


「え?何?これ・・・」


まずは、光の服装が変わっている。

それもまるで、古代の服装になっている。

驚く光に、由香利から説明があった。


「冠の縁と袍の縁は萠黄の錦にしたよ」

「袍は有襴、長紐は白絹、下襲は白、褶は黄、表袴は萠黄綾、裏の紅で縁どりました」


ただ、光としては、そんなことを言われても、さっぱりわからない。

また首を傾げて、他の巫女たちの様子を見ると、これにも驚いた。


「え・・・どうしたの?みんなマジ?」

何しろ、全員が、白衣に緋袴、つまり巫女の正装に変化しているのである。




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