第149話音楽の夜

華奈の赤面状態は、続かなかった。

さっそく楽器を取り出しての、音楽セッションになってしまったのである。


楽譜は、光の家の2階の大広間の書棚にあるものを、何と美紀が引っ張り出して来た。


美紀は、ニコニコして

「だって、これは、昔、光君のお母さんの菜穂子さんとかを囲んで、美智子さん、圭子さん、ニケ、ナタリーでよくやったから」

「楽譜を探すのだって、光君より早い」


それを言われた光は

「へえ・・・さすが、美紀叔母さんだなあ」

とにかくうれしいのか、さっと手を握ってしまう。


美紀は、さらにニッコリ。

「うん、これが自然だよね、私、華奈なんかより光君のほうが好きなの」

「今度から光君と暮らすかなあ、華奈なんでどうでもいいや」

「困ったら春奈さんにまかせる」


春奈は、即座に迷惑顔。

「だめです、華奈ちゃんだけは、困るんです」

華奈もムッとしている。

「せっかく光さんと、ほのぼの関係になったのに、また母にぶち壊された」


ただ、他の巫女は、その話には全く反応しない。

ある意味、「どうでもいい」と思っているらしい。



そんな状態の中、セッションが始まった。

曲は、懐メロシャンソンから


「パリの空の下」

「聞かせてよ愛の言葉を」

「愛の賛歌」

とにかく流麗に、上手に楽器とコーラスで、アンサンブルを作っていく。


光もピアノを弾いていて楽しそう。

「そうなるとシャンソンの次は?」

珍しく積極的に催促をしたりする。


小沢が、それに応えた。

「誰でも知っている古いジャズ」


楽譜は、美紀と華奈が、さっと2階の書棚から引っ張りだしてきた。


「A列車で行こう」

「タキシード・ジャンクション」

「テイクファイブ」

これも、全員が、上手にスイング、ノリノリのジャズとなって、雰囲気がますます明るい。


その後も何曲か、遊んだけれど、夜も遅くなったので、小沢は名残惜しそうに帰っていた。

小沢は、帰り際に光の手を握る。

「秋のコンサートは頼むよ」


光も、しっかりと頷く。

「はい、光栄なお話で、心を込めます」


小沢を見送る巫女たちも、うれしそうな顔になっている。


さて、小沢も帰り、巫女たちも隣のアパートの自室に入ったので、光は春奈と緑茶を飲んでいる。


春奈は、光にやさしい声をかける。

「光君、今日もいろいろ、お疲れ様、よく頑張ったね」

光も、その春奈の声がうれしい。

「春奈さんに、やさしい声をかけられると、楽になる」


小沢との音楽効果があったのだろうか、久々に「ホンワカ気分」の二人である。

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