第147話パエリャの会とそれぞれ、由香利の提案

巫女たちの少々の攻防戦はあったものの、小沢先生が参加したパエリャの会は、豪勢なものとなった。


まずは、光の食欲が旺盛。

「サフランライスも、上に載っている魚介類も、味が濃くて、でもさわやかな感じで、食べるごとに身体が元気になる感じ」


小沢もそんな光の食欲に目を見張る。

「最後に、レモンをサーーッと絞ってかけたのさ、香りも立つ」


春奈も、かなり多めに取っている。

「お米にレモンなんて、和食では考えられないけれど、これは鮮烈、光君にはいいかも、シャキッとするはず」


ソフィーはローストビーフにもご執心。

「味がしっかり沁みていて、柔らかいし、さすが美紀さんです」


華奈が少し口を尖らすけれど、美紀はそんな華奈など何も見ない。

美紀

「いえいえ、これだって、光君のお母さんの得意料理」

「塩、胡椒の量も、焼く時間も、ソースも全てそのレシピ」


ルシェールは、ローストビーフのソースに注目している。

「バルサミコのソースと、和風ワサビソース・・・どっちも美味しい」

「ほんと、光君のお母さんの料理の技術ってはかり知れない」


由香利は、いろいろと考えている。

「光君は、実は子供の頃は、こんな美味しい料理を食べていたんだ」

「でも、お母さんが、あんな風に亡くなってしまって」

「その後は、お父さんも忙しいから、コンビニ食生活」

「高校一年生の頃なんて、いつも真っ青な顔で、華奢で・・・」


由紀も、由香利の顔を見て

「それが、由香利さんのお弁当を食べると、途端に食欲が出るんです」

「去年の夏、ボクシング部に絡まれて以来、クラスの女の子が心配になって、みんなで光君にお弁当を交替で作ったんです」

「でも、由香利さんのお弁当だけは、別格でした」

「おそらく、由香利さんの味付けと、光君のお母さんの味付けと近いんだと思うんです」


キャサリンもパエリャとローストビーフには評価が高い。

「とにかく少しレシピを見せていただきましたが、細かな技術がすごくて、かなり勉強になります」

いつものキチンとした真顔で、食べている。


サラも同じく。

「パエリャが日本でこれほど美味しく食べられるなんて、思ってもいませんでした、故郷が懐かしくなります」

少し目を潤ませている。


春麗も、食欲旺盛。

「中華の味付けではないけれど、こういうのも好き。ここの家にいると世界中の美食が味わえそう」

そう思って、チラリと華奈を見ると、その華奈の顔が少し浮かない。


華奈は、食べていることは食べているけれど、しきりにブツブツ。

「なかなか、この域まで私がたどり着くのは難しいなあ」

「そうなると、誰かに、しっかり教わったほうがいいかもしれない」

「意地悪母さんはすぐに怒るし、春奈さんも、フフンといって上から目線」

「ソフィーはビシバシ厳しそう」

「由紀さんには、私の些細なミスを知られるのが、恥ずかしい、学園内で話題にされると辛い」

ただ、華奈の「料理技術指南に係る先生の選択」は、中途半端で終わってしまった。

次に考えようとした由香利が、光に突然、声をかけたのである。


由香利は真顔。

「ねえ、光君、奈良に行く前に、伊勢神宮に寄れないかな」

そして、その目がかなり輝いている。


光は

「うん・・・」

由香利と同じように、その目を輝かせている。

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