第146話華奈の必死と巫女たち

音楽部での「運命」練習終了後、小沢が光と春奈、ソフィーを手招きをした。

小沢は、ニコニコとしてまずは光に

「また、光君の家にお邪魔したいと思うけれど、突然過ぎるかな、あれがしたくてさ、ずっとね」


光は、小沢の意図がすぐにわかったようだ。

光もにっこりとして

「先生、もしかして、あのパエリャですか?」

小沢も、素直に頷いたので、かつて光の家で食べたパエリャということになる。


春奈もうれしそうな顔。

「あらーーー・・・あのパエリャ本当に美味しかったです、それをまたなんて」

ソフィーも、途端に食欲がわいて来た様子。

「そうなると、魚介類ですよね、ニケに・・・」

つまり鎌倉の母ニケに連絡をしようとするけれど、小沢がそれを押しとどめた。


小沢は含み笑い。

「ああ、それは不要、もうニケさんね、由香利さんとルシェールと一緒に築地で買い出ししている」

「サフランも必要だから」

・・・などと話をしていると、華奈が必死かつ真っ赤な顔で光の前に来た。


そして華奈は光に

「ねえ、光さん!早く帰ろう!」

「もう、私の母さんが、大変なことになっていてさ、早く早く!」

しかし、話の内容が、その程度なので、意味がサッパリ不明。


光が首を傾げていると、廊下で「運命」の練習を聴いていた由紀が、光の前にきた。

由紀は華奈をチラッと見て

「あのね、華奈ちゃんのお母さんの美紀さんも、光君の家のパエリャの会に参加するって、メールが私に来たの」

「それでね、他にも作るものがあるので、どんどん帰ってきてって、確かローストビーフとコンソメスープ、サラダも作るらしい、あと他にもあるのかな」


春奈は、少し首を傾げていたけれど、ようやく理解した。

「そうか、華奈ちゃんだと、早とちりで状況をしっかり説明できないから、冷静な由紀ちゃんにもメールしたんだ」

「ほんと、高校二年生にもなって、マダマダだなあ、華奈ちゃんも」

そう思って華奈の顔をフフンと見るのだけれど、華奈はそういう春奈の「フフン」だけには反応が早い。


華奈は、腕を組み、春奈に反撃を開始する。

「春奈さん!そんなフフンなんて言っている場合じゃありません!」

「とにかく!早く帰ることが何よりも大事」

「細かな説明など、車中で十分!」

「だいたいね、ローストビーフが失敗したらどうするんですか!」

とまで言って、光の顔をニンマリと見る。


「ねえ、光さんだって、そう思いますよね」

「私と、私のお手伝いの母美紀の愛情のこもった美味しいローストビーフ食べたいですよね」

華奈は、そこで少し間を置く。

そして光が、返事に戸惑ったのをいいことに、一気に光と腕を組んでしまった。


ソフィーは、また呆れた。

「結局、これがしたかったんだ・・・華奈ちゃんのお手伝いの美紀さんなんて、美紀さんが聞いたら、華奈ちゃん張り倒されるって・・・」


春奈は、どうでもいい感じ。

「張り倒されて大泣きになるのも面倒、でも、華奈ちゃんのアピールなんて、どうせ、一時的なもの、みんなそう思っている」


由紀も、そんな感じ。

「どうして華奈ちゃんって、時々、突発的な動きをするのかなあ、でも、それが突発的だけで、続かないんだよね」


また、他の候補者巫女のキャサリン、サラ、春麗も、全く気にしない。

キャサリン

「光君、運命を指揮して疲れ気味だから、歩行支え係でいいかな」

サラ

「どうせ、スキを見せるから、奪い取ればいいさ」

春麗

「奪い取るのはいつでもできる、華奈ちゃんってスキだらけ」


小沢も、巫女たちの反応には、今さらながら頭を抱えている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます