第141話居眠り光と巫女たち

光は結局、昼休みの残り時間は、キャサリンに身体を支えられたままだった。

それを目の前に見ている由紀、サラ、春麗はムッとした顔。

また、クラスの女子たちも、表情が変わっている。


それでも由紀は、何とか引きはがそうとするのだけど、とても難しいようだ。

「光君、安心しきって身体預けているしなあ・・・」


サラは残念そうに、由紀の意見に同調する。

「よりかかるだけなら、私のほうがいいんだけど・・・キャサリンと喧嘩しても、彼女強いし、共倒れになる」


春麗は、悔しいけれど、別の方法を考えている。

「とにかく、何とかしてキャサリンのスキを見つけること、スキが見つかったら一気に奪い取る」

ただ、そんな簡単にキャサリンはスキを見せない、春麗の作戦遂行も困難のようだ。


光の「阿修羅の力行使」など、何もわかっていないクラスの女子たちは、それぞれ。


「キャサリンが、キリッとして美人だから、とても入り込めない」

「光君がボンヤリとしているから、いけないの」

「ほんとだよ、いい加減でさ、ちょっと美味しいお昼食べると、すぐに居眠り」

「それにさ、あの食欲って何?由香利さんのお弁当をあれほど美味しそうに食べてさ」

「確かに、いい匂いしていたし、料理ではかなわないということはわかっているけれどさ、格差ありすぎ」

「私たちが去年お弁当を作って食べてもらった時は、本当にモタモタして食べていたしねえ・・・・美味しくなかったのかな、実は・・・」


クラスの女子たちの思いは、少しずつ変化した。

最初は、キリッとした超美少女のキャサリンに抱えられてようやく息をしている光の情けなさ。

次に、お弁当作成技術への話。

つまり由香利の技術の高さと、それに比しての自分たちの技術の程度を、光の食の進み方から判断して、少々落胆気味なのである。


さて、光は、ようやくキャサリンの腕から離れて、午後の授業となった。

当然と言えば当然となるけれど、光は「姿勢真っ直ぐ、居眠り没頭」の時間になる。


由紀は、長い付き合いもあるし、いろいろ思う。

「でもさ、光君って、やはりいい加減だと思う」

「さっき、自分からキャサリンに支えてってお願いしたことだって、授業が終わって起きれば忘れていると思うし、それに違いない」


そして、その由紀の思いは、教室の外にいる巫女たちも同じようだ。

さっそく由紀の耳にテレパシーが飛び込んで来た。


春奈はケラケラと笑ったテレパシー

「当ったり前だって!光君にそういう期待は無用なの!何しろ無粋なんだから」


ソフィーもそんな感じ

「光君に、そういう女性に対する恋心とかの芽生えはないよ、当分、だから考えない方が無難なの」


華奈まで、テレパシーを送って来た。

「由紀さん、残念だけど、私は子供の頃から、十年以上そうなの、腕を組んでも、抱き付いても、その時だけ」

「ルシェールだって、口移しでお薬飲ませても、全く変化のカケラもないの」


由紀は、そこでまた思った。

「そうだよね、私だって、裸で抱き合っても、その時限りだった」

「その後は、全く無反応だ、それも嘆かわしい」


キャサリン、サラ、春麗も、由紀の思念を読み取っているようだ。

時々、クスッと笑ったり、顔をしかめたりするけれど、何しろ当の光が背筋を真っ直ぐにしたまま、熟睡状態、これでは何の仕掛けも難しい。


さて、そのような状態で、今日の授業はすべて終了。

ようやく、目を開けた光が、ガサゴソと鞄に教科書類を詰め込んでいると、学園の事務員が教室に入ってきて、光に声をかけた。

「光君、もう一度校長室に、お客様がお見えです」

光は、首を傾げている。

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