第135話居眠り光と巫女たち

実に美味の朝ごはんと、スンナリとした登校であったけれど、やはり光には問題があった。

何しろ、たまに二杯もご飯を食べてしまったので、一限目の英語の授業から眠っている。

ヨダレまではたらさないけれど、授業開始3分後には、眠りに入ってしまった。


由紀も長年の付き合い、光の状態などすぐにわかる。

教壇に立つ英語教師に目で合図。

「光君、無理です、寝かせます」

その英語教師とて、学園に長く勤める教師、光の体力不足と眠りグセは把握している。

軽く頷いただけで、「光の居眠り」を認可してしまう。


由紀は思った。

「まあ、光君は英語は苦手な方だけれど」

「試験前になったら、私が隣の席のヨシミで勉強を手伝うことにしよう」

「これでこそ、ほぼ同居の強みがあるというものだ」

「そうなると、シャキッとして起きていられる方が、ほぼ同居の強みがなくなってしまう」

結局、光の眠りグセは、由紀にとって、格好のつけ入るスキになるのである。


一方、イギリス人のキャサリンは、英語の授業を逆に聞く。

「英語を通して、日本語を学んでいる感じだなあ」

「そうなると、ここでしっかり学んで、将来は日本に住んでもいい」

ただ、こうも考える。

「今のところは、日本人巫女の様子を見ているけれど、いつかは一気に光君を落として我が夫にしよう」

「まあ、光君というか阿修羅様だって、たまにはわがイングランドを歩くのもいい、何も日本で独占することもなし」


サラは、また別の思いで、眠りこける光を見ながら英語の授業を受けている。

「光君もあの程度の食事量で眠くなるというのは、やはり基本的な体力が不足している」

「もう少し、気力も体力も、必要かなあ」

「内臓のレベルで鍛えないと、難しい」

サラは、そう思いながらも英語の教科書に目を落とす。

「ギリシャ語、ラテン語、フランス語に比べれば、英語なんて単純極まりない言葉」

「そもそも、ブリテン島なんて、ヨーロッパの僻地だった」

「ヨーロッパ大陸をカエサルに追われたケルト人と、入植したゲルマン人で作った国」

「名詞の単語だって、ブリテン島由来の単語は30%にも満たない、名詞そのものが、ほぼ輸入の国さ」

「歴史も、近世になってようやく巨大な国になった時もあったけれど」

「古代から中世までは、イギリス王などフランス王の臣下に過ぎなかった」

ただ、こんなことを思っているなど、キャサリンには感づかれてはならないので、しっかりと結界を張っている。


春麗は、眠りこける光を見て、面白そうな様子。

「マジで、可愛い」

「色白で、小顔で、美少年フェイスって言うよりは、美少女フェイスだ」

「ライバルも多いけれど、私もまだ本気を出しているわけではないし」

「あの可愛い光君をゲットできるんだったら、多少は我慢できる」



さて、光のクラスの平穏な授業風景はともかく、一緒に保健室に入った春奈とソフィーはいろいろ考えている。

春奈は、反省しきり。

「まさか、由香利さんの関東風っていうか江戸築地風の味付けを光君があんなに食べるなんて」


ソフィーも、驚いている。

「そうだね、ニケとか私が食べさせる時があるけれど、いつも無理やり食べさせる感じ、それを今朝の光君は、自分から二杯目だもの」


春奈はソフィーの顔を見た。

「ねえ、当分、朝ごはんだけでも、由香利さんにお願いしようかなあ」

「あの光君の食欲を見るとさ、そうなる」


ソフィーも、頷いた。

「そうだね、あとはサラの料理も食べてみたいけれど・・・」

「朝ごはんで、地中海風のコンチネンタルブレックファストだと・・・足りないかな」

ソフィーも春奈の意見に、同感のようである。

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