第130話阿修羅のルシェールと春奈への指示

阿修羅は、次にルシェールの顔を見た。

「ルシェール、聖母マリアの巫女、いつも光君の命を寸前のところで救ってもらって、本当にありがたい」


ルシェールも神妙に、そしてその顔を紅潮させて、頭を下げた。

阿修羅は、ルシェールにもう一言かける。

「いつもと同じでいい、しっかりと光君を支えて欲しい」

「また、本当に危険になったら、頼むことになる」



さて、春奈には、もう一つ心配なことがあった。

それは、阿修羅から他の巫女の名前と役割は告げられたのに、自分の名前が告げられないこと。

すごくドキドキして、期待して待っていたのに、ちょっとした落胆状態である。


その阿修羅が、ようやく春奈の顔を見た。

春奈も、それに気づき、またドキドキ感が強くなった。


「それで、春奈さん」

阿修羅の声は、またしても、やさしい。


春奈は、ドキドキして声がでない。


「春奈さんには、全体の衛生管理などのアドバイスを頼みたいということと、それもあるんだけれど」

阿修羅は、ゆっくりと春奈の前に立った。


春奈は、阿修羅が眩しいのと、緊張で震えてしまって、何もできない状態。


「一番お願いしたいのは、光君の心と身体のケアなんだ」

阿修羅の次の言葉だった。


春奈にとっては、当然極まりない話。

しかし、さっきまでの「冷たい関係」が、少々反省をもたらす。


春奈は、阿修羅に頭を下げた。

「すみません、ついつい、光君に苛立ってしまいまして」


その言葉に阿修羅は苦笑い、地蔵は、坊主頭を掻いている。

地蔵も春奈に、やさしく語りかける。

「光君も、至らない点が多々あるけれど、それを春奈さん、カバーしてください、他の巫女にも能力はあるのですが、癒やしの能力は春奈さんが専門なのです」

「春奈さんは、全てを癒やすの巫女、つまり薬師如来につながる巫女なのですから」


春奈は、ますます震えてしまった。


地蔵は言葉を続けた。

「とにかく光君の至らぬところも、全て受け入れて、癒やしてあげてください」


春奈が少しうなだれて、阿修羅を見ていると、阿修羅の手の上に変化、不思議な壺が手の上に浮かんだ。


阿修羅は、春奈の顔を見て、ふっと笑う。

「この薬壺、薬師如来にもらったのさ」

「どんな、ばい菌でもウィルスでも、即座に浄化する」


そして、春奈に、その「薬師如来の薬壺」を差し出してきた。


「え・・・あ・・・はい・・・」

春奈は、ますます緊張してしまい、身体も固まってしまった。

しかし、その腕が勝手に動く。


地蔵から声がかかった。

「春奈さん、この薬を使うのが、あなたのお役目の一つでもあるのです」


その地蔵の言葉と同時に、春奈の腕が阿修羅の前に差し出され、その手のひらも開いてしまった。


「マジ?・・・」

そして、春奈は、本当に驚いた。

春奈の手のひらに、瑠璃色に輝く薬壺が乗っている。

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