第129話阿修羅の巫女への役割指示、地蔵出現、春奈の不安

阿修羅は、それほど厳しい顔をしていない。

むしろ、柔らかい顔になっている。

そして、第一声も、ゆっくりと穏やかな感じ。

「まずは、巫女たち、今回はアーサー王のエクスカリバーの聖剣の巫女、アルテミス神の弓の巫女、それから九天玄女の巫女も参加してもらった」

「それについては、この阿修羅から、礼を言う」


その阿修羅の言葉に、全ての巫女が頭を下げる。


阿修羅は言葉を続けた。

「相手は蝿の悪神、蚊の悪神、それから裏切りの魔王ベリアル」

「全てが、正面切っての大戦争ではない」

「この阿修羅に正面切って挑んでくる力はないのだから」

「警備が薄く弱い相手を、虐めるように滅ぼし、すぐに引き上げてしまう相手との戦いになる」

「最近の言葉で言うならば、不定期に発生する突発性テロとの戦いになる」

「それも、下手をすれば、相当数、相当の期間続く」


阿修羅の話を聞き続ける巫女たちの表情は、まさに真剣そのもの、一言も発しない。


その阿修羅が巫女の中で、由香利、華奈、由紀の顔をじっと見て、話しかけた。

「そこで、対策となる、アマテラスの巫女の由香利さんと、華奈さんには、邪霊除去の秘法、それから八方除け結界の神の由紀さんには、その結界そのものの秘法を頼みたい」

「ウィルス対策とも言える」


由香利、華奈、由紀は、阿修羅の指示に、深く頭を下げる。


その由香利、華奈、由紀に、阿修羅がもう一言、補足する。

「この日本各地の神社仏閣、教会から、道端に立つ石仏にまで、地蔵さんが監視を頼んでくれた、その情報も活用願いたい」

阿修羅の言葉と同時に、阿修羅の隣に、袈裟を着て錫杖と宝珠を持った地蔵菩薩が、にこやかに出現した。


阿修羅は、次にキャサリン、サラ、春麗の顔を見て、話しかけた。

「キャサリン、サラ、春麗については、光君の日常警護と戦闘になった場合の補助を頼みたい」

「それは何しろ、体力的に今ひとつ、不安を有する光君なので、相手側から連続攻撃が発生した場合に、かなりな事後の危険が発生するため」


キャサリン、サラ、春麗も、神霊界の中でも最強神阿修羅の言葉になるので、深く頭を下げている。


阿修羅は、次にソフィーに声をかける。

「ソフィー、いや実は大天使ガブリエルは、とにかく相手の情報や全体の戦役分析を頼む」

「必要に応じて、天使長ミカエルと天神アポロと協力して、敵を叩くこともお願いする」


ソフィーが阿修羅に質問をした。

「つまり、結界強化によって、というか障壁を作って、蝿の神も蚊の神もベリアルも、まずは入り込ませないようにするのですか?」


阿修羅と地蔵が、頷く。

今度は地蔵が話し出す。

「ただ、難しいのは、全てが全て、駆除できるわけではないのです」

「蝿にしろ、蚊にしろ、極めて小さな卵が持ち込まれている、あるいは日本古来の悪虫が復活しているかも知れない」

「もちろん、この日本の衛生状態は、他国と比べても、かなり優れてはいるのですが、それでも夏などの季節になれば、全く発生しないわけではないのです」


春奈は、そこでピンと響くものがあった。

「そう言えば、厚生労働省も言っていた、各自治体により、衛生観念が微妙に異なる、あるいは各自治体の中でも、担当者によって真面目に衛生とか防虫に取り組む人と、適当にごまかす人と・・・」

「もともと日本は温暖で雨が多くて湿度が高い国、そういう虫は発生しやすいんだ、そうなると、狙いやすい国なのかも知れない」

「一箇所、そういう衛生観念が薄い自治体を狙って、蝿とか蚊を培養、増幅させて・・・もしそれが毒性の強い蝿とか蚊だったら・・・」

春奈の背中に、冷たいものが走っている。

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