第128話光の説明は続く。

光は、説明を続けた。

「その海賊の戦略として、特徴的なことがある」

巫女たちの顔が、更に引き締まった。


「彼らの戦略として、自分より強い相手は襲わない」

「警備が薄く、簡単に攻略ができて、財物や人間を獲得できる小さな村」

「仮に強い相手が出てきたら、さっと引く」

「そして、また別の警備が薄くて弱い村を襲う」

「つまり、弱い者いじめを旨とする」


春奈がつぶやいた。

「悪辣、非道と思えるけれど、彼らの宗教からすれば、それをやって当然なんだ、不信仰の人間を滅ぼすことは罪ではないと」


その春奈にサラが答えた。

「いや、彼らにとって、キリスト教徒は人ではないのです」

「不信仰のイヌなんです、家畜以前の滅ぼすべき対象」


ソフィーも口を開いた。

その口が震えている。

「特に、勇敢に海賊に対抗した軍人もいたんだけど、ほぼひどい目にあった」

「生きたまま、皮膚をはがされ、海に投げ込まれるとか」

「あるいは、生きたまま、内蔵を一つずつ、えぐり出されるとか」


ルシェールの頬には涙が流れている。

「首を切らないという約束で、襲った村の住民に全財産を差し出させた海賊もあった」

「しかし、そんな約束は、ほぼ守られなかった、結局は全員が殺された」

「・・・首を切らないけれど、その代わりに、胴体を真っ二つに切断したり」


由香利がうめいた。

「まさにベリアルの仕業だね、人を騙して、しかも残酷」


由紀は肩を落としている。

「そんな海賊に襲われてしまった人、襲われる不安で暮らしていた人って、何の幸せがあったのかな」


華奈は、震えてしまって声も出ない状態。

ツイと立ち上がって、光と腕を組んでしまった。

とにかく、話の内容が怖くて仕方がないようだ。


光は、説明を再開した。

「それと、特徴的なことが、他にもある」

「彼らの攻撃は、単発的であって、継続的ではない」

「だから、面倒な城壁を攻略するなどは、あまり得意ではない」

「それが、首都をはじめとした大きな都市を狙わないということにつながってくる」


その光に春麗が質問をする。

「でもさ、光君、この間の渋谷の航空機墜落未遂はどうなるの?」

他の巫女も、それは同感だったようだ。

一様に頷き、光の顔を見る。


光は、首を横に振り

「いや、絶対に都市を狙わないということではないさ」

「相手に勝てる武器があれば、必ず襲う」

「つまり、航空機を支配する力があれば、それを使って、大きな都市を襲う」

「特に大都市などは、彼らから言わせれば、不信仰の輩の巣窟、襲って破壊することが、彼らの信じる神の意思に叶うのだから」


ソフィーが口を開いた。

「とにかく、裏切り、残酷、そして計略上手の堕天使にして、地獄の魔王の一人、何をしでかすかわからない」

「それに対処するには?」


再び、全ての巫女の視線が、光に集まった。


光は、その視線を受けて、両腕をゆっくり左右に開き、その胸の前で合わせた。

そして、かなり眩しい状態の中、阿修羅が出現した。


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