第125話シュークリームと巫女たちの複雑な心理

光の口から次に出た言葉は

「ねえ、ルシェール、おなか減った」だった。


「お昼のお弁当も残したのに・・・」と、全員の巫女があっけに取られてしまった。

その上、光は、ニンマリとしていた春奈の手を、「アッサリ」と振りほどいてしまった。

そしてルシェールの前に、ツカツカと歩き

「そうだなあ、シュークリームが食べたい、焼き立てのがいい」との言葉。


特に春奈があ然。

「・・・やはり光君はアホで無粋だ」

肩を落とすような状態ではなく、とにかくアホと思っている。


ソフィーは、ニヤリ。

「ふふん、やはり光君なんて、そんなものさ、春奈さんの幸せは短い」


由香利

「そもそも、手をつないだ意味ってあったの?」


由紀

「よくわからないけれど、それが光君なんだ、あてにはならない、特に女性関係については、それがメチャ悔しい」


華奈は、またフフンと笑う。

「なんとなく、元気な頃の光さんに戻ってきた、これでつけこむチャンスができた」


キャサリン、サラ、春麗は、まだあっけに取られている。

キャサリン

「まさに難攻不落、光君の心は度し難い」

サラ

「そもそも、女性に対しての意識がないのでは?」

春麗

「女性が、どう思っていても、光君は自分の感覚だけで動くのか、頭痛がしてきた」


ただ、光に名指しされたルシェールは、幸せ一杯。

「うん、作る!光君、期待していてね!」

まさに薔薇が咲いたような笑顔で、大聖堂のキッチンに歩いていく。


そのルシェールにキャサリンがさっと続いた。

「私、紅茶を淹れます」

ルシェールも、にっこり。

「そうね、おまかせします」


光はともかく、他の巫女たちも、結局協力することになった。


シュークリームの材料も、実はマルコ神父とルシェールで連絡を取り合って準備してあったらしい。

作業をする巫女たちも多く、すぐに出来上がったのである。


光は、久しぶりにニコニコしている。

「うん、甘い物が食べたかった」

ルシェールは、うれしそうな顔。

「そうなると思ったので、えへへ」

春奈は、食べるだけ。

「まずは美味しいからいいや、光君とも仲直りしたし」

ソフィーはむくれている。

「どうも、私の存在感が薄い、気に入らない」

由香利も食べるだけ状態。

「確かにルシェールのシュークリームは絶品、クリームがいいのかなあ」

由紀は、悔しそうな顔。

「私も料理で、状況を一変できるようにしたいなあ」

華奈は珍しく、こぼさず食べている。

「ここで恥ずかしいことはできない、ますます光さんから遠くなる」


キャサリンはまた別の考え。

「今度は私がデザートを作るかな、となると・・・」

サラは、難しい顔。

「なんだかんだと言って、ルシェールは安定して強い、光君はかなりルシェールを信頼している」

春麗は、悩んでいる。

「とにかくライバルが多すぎる、並大抵の努力では、光君をゲットできない」

それぞれの巫女が、複雑な表情でシュークリームを口にしているのである。

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