第122話天使長ミカエルの報告とリスク

光と春奈の、「仲直り」はともかく、天使長ミカエルは報告を始めたいようだ。

その目の輝きが、強くなった。


光は、春奈と腕を組んだまま、一行の最前列に進み出た。


すると、天使長ミカエルから、また言葉。

「はい、光君、とりあえず問題は解消されましたね」

「とにかく、つまらないことで、トラブルしないでください」


春奈は、それで「うんうん」と頷き、光を組む腕に、グッと力を込める。

光は、顔を赤くしている。


天使長ミカエルの報告が始まった。

「さて、昨日は渋谷駅前の航空機墜落は、阿修羅様の御力で無事防ぐことができました」

「これについては、深謝いたします」

ミカエルは、光に頭を下げた。


光が静かに頷くと、また報告を続けた。

「私が、航空機内で調査したところ、やはりベルゼブブの神の仕業でした」

「旅客の機内持ち込み鞄の中に、悪霊をしみ込ませた蠅を何匹か忍ばせる」

「そして日本上空にさしかかった時点で、遠隔操作、蠅を飛ばす」

「羽音には、睡眠作用、ひどくなると意識喪失作用の悪霊です」

「幸い、阿修羅様の御力で、飛行機そのものは、無事でした」

「しかし乗客とパイロットを含む乗務員全員が、渋谷上空では意識が全くなかった」

「あのまま、雑踏の渋谷に落ちていたなら、大災害でした」


ミカエルがここまで話した時点で、光の目が輝いた。

「ところでミカエル、そこまでは、ほぼわかっている」

「難しいのは、その鞄に仕込まれたのは、蠅だけではないと思う」

光の目は、かなり厳しくなっている。


その光の言葉を受けて、ミカエルが厳しい顔になった。

「はい、さすがは阿修羅様です、感づいておられましたか」

「実は・・・他にもあるのです」


全員の目が、天使長ミカエルに注がれる。

天使長ミカエルは、ますます難しい顔。

「まず、蚊です」

「それも、かなりな毒性のマラリア原虫が持ち込まれたようです」


春奈の顔が、それで引き締まった。

「マジ?これから暑い夏で、蚊も増える」

「そんなの都会で流行ったら、何人死ぬかわからない」

「毒蠅だって持ち込まれたんでしょ?」

「頭痛がしてきた・・・」


ソフィーは、冷静。

「ところでミカエル、まず乗客に感染者は?発症者は止められるハズだけど」

「潜伏期間を含めて、どうなっている?」


しかし天使長ミカエルは、首を横に振る。

「かなり把握は、難しいのです」

「ベルゼブブの神、そんな簡単に尻尾を出すことはしません」

「おそらく、ほんの微量、そして今は発症しない、感染もしない」


光が反応した。

「・・・となると、潜伏期間をある程度置いて、忘れた頃に発症させ、流行らせるのか」

「あの悪神が考えそうなことだ」

光の声は、完全に阿修羅の声になっている。


春奈が口を開いた。

「そうなると、徹底的に防疫対策を取るしかないかな」


ソフィーも頷く。

「厚生労働省を通じて、全国の自治体にか・・・」


光は、また難しい顔。

「とにかく繁華街が、危険」

しきりにつぶやいている。

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