第115話春奈の厳しい言葉 光の不調

光と巫女たちは、警察の現場調査に付き合うことになった。

といっても、光たちは、事故を未然に防いだ立場、感謝こそされ、責められることはない。

簡単に、調査自体は、終了した。


しかし、トラック運転手は、かなり問題があった。

まずは、酒気帯び、そして積荷の過積載。

また積荷自体も、かなり危険なものだった。


ソフィーが厳しく、運転手を問いただす。

「火炎瓶、ダイナマイト、催涙スプレー、大量のハンマー、刀剣?ピストル、ライフル?」

「依頼主は誰?目的地は?」


しかし、運転手は、簡単には口を割らない。

結局、警視庁本庁の車両に乗せられ、連行されていった。

そして、ソフィーも事情聴取のため、警視庁本庁に出向くことになった。


さて、「対応」が終わった光と巫女たちは、ようやく通学の途につくことになった。

いつものように、由紀、キャサリン、サラ、春麗が光を警護する態勢になる。


由紀が光に声をかけた。

「光君、お疲れ様、すばらしい人助けと大災害と事件を未然に防いだんだね、よかった」

由紀の声は、やさしい。

光も、ホッとしているのか、軽く頷く。

ただ、少し顔が青い。


キャサリンが不安そうな顔。

「光君、疲れたの?トラックの前の時より、顔が青い」

サラも気づいた。

「ねえ、光君、どこか痛みとかない?急に筋肉を使ったから?」

春麗は、光の顔と身体全体の雰囲気を見る。

「うーん・・・筋肉も酷使したけれど、内臓系だね、この青い顔」


由香利は、少し離れていたけれど、光の不調に気づいたようだ。

「光君、いつもより厳しい顔している、というか辛そうな顔している」


ルシェールは、ツカツカと光の前に来た。

「ねえ、光君、苦しいの?」


しかし、光は、何を言われても、全く表情に変化がない。

「大丈夫だよ、心配しないでいい」

返ってくる答えは、それだけ。


春奈は、あまり心配しない。

それどころか、厳しい言葉の連続。

「そんな心配すること無いって、いつものボンヤリ癖でしょ?ちょっとでも体力使うとそうなるんだから、日頃の不摂生のツケだよ」

「変に気を使わないでいい、そんなことするから、つけあがる」

「だいたい、これほどの巫女に協力されているんだから、少々の痛みは、我慢させないとだめ、甘え過ぎなの、光君は」


華奈は、他の巫女たちの反応は、「当然」と思ったけれど、春奈の厳しい言葉が、本当に気にかかる。

「光さんの不調の原因は、春奈さんの言葉のキツさだと思う、ソフィーもそうかな」

「光さんは、頑張りこそすれ、何も悪いことはしていないのに」

「頑張って阿修羅の力を使ったんだから、回復に時間がかかるのは、仕方ないのに」

「その思いやりが、全く欠けている」

ただ、華奈も、思うのはそこまで。

なかなか、光に近づくことはできなかった。


光の不調は、学園についても、続いた。

いつもの通り、姿勢をキチンとして授業を受けているけれど、途中で時折、顔をしかめる、あるいはお腹を抑える動きが多い。

お昼に、ルシェールが作ってくれたお弁当も、結局半分以上残した。


由紀は、不安になったので声をかけた。

「光君、保健室に行ったら?お薬だけでも」


しかし、光は、首を横に振る。

「いやだ、保健室だけは行きたくない、怒られるだけ」

光の言葉は、それだけ。

お腹をおさえて、本当に苦しそうな顔になっている。

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