第110話ルシェールの朝食、そしてお願い

翌朝になった。

今日の朝食は、ルシェールがメインとなって作っている。


ルシェールは、大輪の薔薇のような美しい笑顔。

「チーズ・リゾットとリヨン風サラダ、カフェ・オーレだよ」

「身体にやさしいメニューにしました」

と言いながら、キャサリンとサラと一緒に、テキパキと作っていく。


春奈は、そのルシェールに目を見張る。

「やはり、この姿を見ると、実力ナンバーワンだ」

「辛い四川料理の翌朝の胃のことを、よく考えている」

「光君のお嫁さんの最短距離にいることは、全く変わらない」


ソフィーも、腕を組み、感心している。

「チーズにしろ、お米の煮方にしろ、ホッとするような癒しに満ちている」

「悔しいけれど、ルシェールなら、光君を安心して任せられる」

「音楽家としての将来を考えれば、ルシェール以上にサポートできる人もいない」


由香利は悔しそうな顔。

「ルシェールには、とてもかなわない部分がある」

「とにかく光君と一緒に並んで座っていると、全く違和感がない」

「悔しいけれど、いい夫婦になりそうな感じ」

「でも、負けたくない」


由紀は、本当に焦っている。

「やばいなあ、ルシェールが本気出したら」

「美しさとパワーとやさしさと、巫女としての呪力も最高クラスだ」

「なかなか、対抗が難しい」


ようやく成長を認められた華奈は、唇をキュッと結んでいる。

「これも試練、いつかは光さんも、私を選んでくれる」

「・・・そうは言っても、マジでチーズ・リゾット、美味しそう」

その喉をゴクリと言わせている。


さて、光は、チーズ・リゾットを、予想通り美味しそうに食べている。

隣に座ったルシェールに、お礼まで言う。

「ありがとう、ルシェール、この味が好き、ナタリー直伝だね」

ルシェールもうれしそうな顔。

「ふむふむ、よくわかったね、光君」

「でも、しっかりサラダも食べてね」

と、器用にリヨン風サラダを光の皿に取り分ける。


春奈は、しっかりとリヨン風サラダを観察する。

「豚バラ肉の塩漬けと、グリーンサラダ、チコリ、ルッコラにクルトンとポーチドエッグか、それに塩、胡椒、マスタード、白ワインヴィネガー、オリーブオイルか」


ソフィー

「マジで食べやすい、野菜嫌いでも、これなら食べる」


他の巫女たちも、とにかく美味しいらしい。

どんどんと食が進んでいる。


朝食がほぼ終わりの頃、ルシェールが光に声をかけた。

「ねえ、光君、今日の夜は空いている?」


光は、少し考えた。

しかし、特に予定はない。

「えっと、音楽部の練習が終わったら、帰って来るだけだよ」

と、素直に答える。


ルシェールは、それでニッコリ。

そして、そのまま、光の腕を組んでしまった。


「じゃあ、音楽部の練習が終わる頃、学園にお迎えに行くよ」

「赤坂の大聖堂に一緒に行って欲しいの」

「ミカエルが特別に報告したいことがあるらしいの」


ルシェールのその言葉で、光の目がキラリと輝いた。

他の巫女たちは、何も口を開くことが出来ないでいる。

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