第105話楓と光の変わらない関係、楓が巫女を奈良に招待する

超大文句顔から涙顔になってしまった楓を見て、華奈は思い出したことがあった。


「そういえば、子供のころから、そうだった」

「楓ちゃんは、光さんの、がっかりした顔とか、下を向いた顔に、メチャ弱い」


「幼稚園の頃だったかなあ、三人で真夏に奈良公園で鹿さんと遊んでいて、光さんが疲れたって言って座り込んで」

「それで、私と楓ちゃんがソフトクリーム買って来て、光さんに渡したんだけど、光さん、不器用だったから、クリームをベッチョリ服に落としちゃうし」

「コーンは鹿さんに食べられちゃうし」

「それで、楓ちゃんがメチャ怒って、アホとかせっかく買ってきてあげたのにとか、ずーっと怒ったら」

「光さん、涙目になって、シュンとなって、ずーっと下向いて」


「そしたら、楓ちゃんが今度は困って」

「いいよいいよ、光君なんて言ってベッタリ」

「本当は私がベッタリしたかったけれど、入り込むスキもなくだった」

「そうなると、これも同じ?」

「それにしても、光さんと楓ちゃんは、アイスのトラブルが多いなあ」

「去年の夏だって、光さんのアイスを楓ちゃんが黙って食べちゃって、光さん、がっかりしていたもの」


華奈が、そこまで思い出した時点で、光が口を開いた。

そして、楓に声をかけた。


「わかった、奈良に行きたくなった」

「その時に、一緒に歩こう」

「お参りしたいところもあって」


楓も、今度は素直な顔になっている。

「ありがとう、怒りすぎてごめん」

「お参りしたいところもわかった」

「確かに、あれも効果がある」

光の意図がわかってしまったようだ。


そして、楓はもう少し言いたいことがあるらしい。

真面目な、普通の顔になった。

そして、今度は巫女たちに話しかける。


「巫女様たち、今度の土日でいいので、光君と一緒に奈良に来てください」

「少し作業をしていただきたいこともありますし、とにかく人手が必要なのです」

「もちろん、宿泊施設等は、こちらにお任せください」


ほぼ、突然、「奈良一泊二日の話」を聞いた巫女たちは、顔を見合わせる。


春奈

「まあ、予定はないけれど、全員?」

由香利

「えーっと、大丈夫、行きます、奈良大好きなので」

由紀

「うふ・・・私、行きたい、実は楓ちゃん、大好き、あの光君への文句はスカッとする、今度教わろうと思っている」

華奈は、全く問題ない。

「私は、光さんの行く所なら、どこへでも」

ルシェールは、ニコニコ。

「そうかあ、私も里帰りだ、たまには母ナタリーの顔を見たい」


キャサリンもうれしそうな顔。

「これはラッキー!一泊二日だけでなくて、ずーっと寺社巡りしたい」

サラも異存はない・

「奈良と言えば、平城京、正倉院にも行きたいなあ、古来の楽器を見たい」

春麗の顔が輝いた。

「何でも、中国人を祀った神社があるとか、お饅頭の神様って聞いたことがある、これは参拝しないといけない」


ただ、ソフィーは難しい顔。

「また、この人数で新幹線?それともバスを仕立てる?」

「警備が面倒、大使館にも連絡しなきゃ」

ただ、そこまで言うのだから、行くことには変わりがない。


また、春奈は頭を抱えている。

「奈良に帰ると、また口うるさい鬼母さんが、何だかんだと言ってくる」

「そうは言っても、私だけ残れないし・・・全く、光君と楓ちゃんには、かなわない」と、ブツブツ言い続けている。

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