第103話炸裂!楓の大文句(1)

その光の「うろたえ顔」に、更に追い打ちをかける事態が、いきなり発生した。

スイッチを切ったはずのテレビの電源が、なぜか入った。

そして、その画面に、奈良の光の従姉妹、楓が写っている。


その楓の表情を見て、「事情」を知っている華奈と春奈は、さっと光の両脇に座る。

また、ルシェールとソフィーも、ほぼ「厳戒態勢」の顔で、光の周囲を固める。

由香利と由紀は、顔を伏せた。

それほど事情がわからないキャサリン、サラ、春麗は、首を傾げている。


光は、「オロオロ」と声を出す。

「何?楓ちゃん、どうしてテレビに映っているの?」

「誰も・・・ね・・・スイッチいじっていなくて、さっき切ったんだけどさ」

そこまで言って、ブルブルと震えている。


光に尋ねられた楓は、低い声。

「あのさ・・・光君・・・」

「あなた・・・アホ?」

「光君の家のテレビなんて、とっくに遠隔操作できるように、セットしてあるの、気が付かなかった?」


光は、ますますうろたえる。

「そんなの知らないって、いつやったの?」


楓は、またしても低い声。

「去年の夏のコンサートの前に泊まった時だよ、光君が無謀な外出をして、例の暴力団企業とのバトルの時」

「光君のパソコンにもセットした、光君が無謀なことをしたら、すぐに警告できるようにね」


光は、その目を丸くした。

「そんなの全然、知らなかった」

「それってひどくない?勝手にさ」

「それこそ、人権侵害だって」

と、ようやく文句を言い始める。


・・・ただ、その文句が、きっかけとなった。

楓の顔が、真っ赤、完全に変化した。

そして、大暴風が始まった。


「あ・の・ね!この大ボケ光君!」


「どうして、大ボケかましてるの?」


「なんで航空機を手づかみするの?」


「そんなの天神アポロもいるし、天使長ミカエルもいて、金剛力士もいるんだよ!なんでやらせないで、自分がやっちゃうの?」


「いかに阿修羅って言っても、光君の生身の身体から出現するんだから、その後の影響だってあるんだよ!」


「おまけに、予想通り、生身に戻れば瀕死の状態」


「華奈ちゃんが成長しているから、戻ったけどさ!」


「それがなかったら、死んでいるよ!このアホ!」


「キャサリンだって、サラだって、春麗だって戦闘系だよ、医療系じゃない、春奈さんが医療系だけど、最近、若い巫女に気圧されて!なーーんにも治療しないしさあ!」


「それに何?ソフィーまで気圧されて、なんでもっと光君を助けないの?」

楓の文句は、光の他、春奈とソフィーにまで及ぶ。

春奈とソフィーには、少しずつ怒りの表情が浮かんだ。


しかし、楓は、まだまだ文句があるらしい。

恐ろしいことに、胸一杯に空気を吸い込んでいる。


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