第97話光の憔悴と、春奈の決心

ソフィーの言葉の直後、光は意識を失ってしまった。

そして、ソフィーの確保した大型タクシーに、巫女たちに抱えられながら、やっと乗り込んだ。


春奈も真っ青な顔。

「突然、とんでもない力を使うからこうなる」

「阿修羅もやらせすぎ・・・あれしか方法がなかったこともあるけれど」

そう言いながら、光の額に手をあて、脈を見る。

その後、自分の鞄から血圧計を取り出して、血圧を計る。


春奈は首を横に振って難しい顔。

「ほんと・・・息しているのが、やっとぐらい」

「体温も低下している」

「脈も弱い、血圧は上が78、下が30」


華奈は、涙一杯、本当は光にしがみついて泣きたいけれど、一目みて、とてもそんな状態ではないとわかったらしい。

とにかく見つめているだけの状態。


由紀も厳しい顔。

「時間が立てば回復はするのだろうけれど、それにしても、全精力を使い果たしたって感じ」

そして、大型タクシーの窓から外を見る。

「街をゆく人々にとっては、航空機が墜落しそうになっていたけれど、どういうわけか、持ち直して羽田まで飛んだ、それくらいしかないんだよね」

「といって、説明してもわかることはありえない」


キャサリンも涙を流している。

「とにかく、ありえないほどのすごさ、さすが阿修羅様と思ったけれど、その後の後遺症が、かなり厳しい」


サラも、涙が止まらない。

「私のチェロの癒やしなどとは、次元が異なる話、大聖堂の前の戦いとか、富士山麓での戦いとも匹敵する戦いを、突然行ってしまったのだから」


春麗は、光の手を握った。

そして、難しい顔で、首を横に振る。

「効果が出るには時間がかかるけれど、精気回復に使う手のツボを少しずつ押すよ」

「それにしても・・・本当に脈そのものが弱い」


ずっと光の様子を見ていたソフィーは、本当に厳しい顔。

「今回は、いきなりの攻撃で、阿修羅は超巨大変化して、航空機を掴んで止めるしかなかった」

「そこまではいいけれど、その後は、こんな状態」

「もう一機飛んできていたら、どうなっていたのか」

「それこそ、大災害は避けられず、光君の命も危ない」

「それに、また違う攻撃を仕掛けてくるかもしれない」


そのソフィーの考えを、他の巫女も感じ取っていたのか、一様に厳しい顔になっている。


由紀

「もう一度、強い結界を貼り直さないと、それでも厳しい」

華奈

「段違いすぎて、どうにもならない」

キャサリン

「私は、今回のような咄嗟な攻撃には光君に頼ってしまった、反省しています」

サラ

「やはり全然あなどれない相手、人の心のスキをついてくる」

春麗

「全方位から、細かな攻撃が来る戦いと思っていたけれど、今回のように、ものすごい一撃が来る、これでは全く気が抜けない」


そんな沈み込む巫女に春奈が声をかける。

「とにかく、光君の回復が先決・・・そのために」

とまで言って、春奈の顔は厳しくなった。


「薬師如来の秘法を光君に施します、全員協力願います」

その春奈の言葉で、全ての巫女が頷いている。

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