第94話華奈の苦しみ 駅前に異変?

光は、大泣きになってしまった華奈の手をずっと、握っている。

そんな二人を見て、春奈は、いろいろ考える。


「光君、やはりやさしいよね」

「こんなたくさんの人の前で、大泣きになってしまった華奈ちゃんも子供って思うけれど、仕方ないかなあ」

「華奈ちゃんの心もわかる、確かに他の候補者巫女が、すごすぎて格差しかない、華奈ちゃんだって、光君のことを好きで好きで仕方なくて必死だけど」

「いつも空回りしてるいるし、意気ごみだけだしなあ、実力がなあ・・・」


ただ、そう考えても、春奈としては華奈を「応援する」ことはできない。

何よりも、華奈がもっと努力して、「光の心を獲得するならともかく」なのである。


それでも、年長のソフィーが光と華奈に声をかけた。

「じゃあ、帰ろうか、そろそろね」

そして華奈にささやく。

「大丈夫、華奈ちゃん、光君はずっと華奈ちゃんのことを忘れていない」

「むしろ、すっごく心配している」

光も、その言葉を聞きとったのか、笑っている。



さて、そんなハプニングが少しあったものの、光と巫女の一行は、帰宅の途についた。

その帰宅の途にあたっては、光の周囲は例にならって、由紀、キャサリン、サラ、春麗が固める状態。

春奈と華奈、ソフィーは一緒に固まって、周囲を見回しながら歩く。


華奈が春奈とソフィーに頭を下げた。

「何か、自分が情けなくて泣いちゃった、恥ずかしい」

春奈は、

「仕方ないさ、でも、光君が大丈夫って言ってくれたんでしょ?自信持っていいさ、落ち込んだ華奈ちゃんのほうが、光君はつらいと思うよ」

「それと、もっと努力して、華奈ちゃん自身が、自分を高める以外に道はないよ」


ソフィーも華奈に

「さっきも言ったけれど、光君は華奈ちゃんの気持ちもわかっている」

「でも、それと努力は別だよ、自分を高める努力とはね」


華奈も、それには頷くけれど、自信がない様子は変わらない。

「ほんとに努力しても努力しても・・・いつになったら・・・」

光に手を握ってもらっても、春奈とソフィーに背中を押されても、なかなか華奈の気持ちが上を向かない。

「実力か・・・見せかけじゃダメなんだよね・・・」

結局、華奈の顔はまた暗い。


そんな華奈を見て、春奈はまた考える。

「光君の候補者で、奈良の血が強く入っているのは、私と華奈ちゃんしかいない」

「私も候補者は譲れないけれど・・・歳がなあ・・・」

「せめて、二つか三つ上なら、有無を言わせずゲットしているんだけど」


ソフィーは、そんな春奈の心を読んだらしい。

「春奈さんも、そんなんでどうするの?」

「去年の夏からずっと光君の面倒を見てきたんでしょ?」

「それは私だって、候補者を降りる気持ちはないけれどね」

「こういうことは、一番大切なのは光君の気持ちだよ」

「だから・・・」

ソフィーの言葉は、突然、そこで止まった。


そして、光の声が巫女全員に響いた。

「ねえ、それは後回し!」

「そんなことより、駅前がすごいことになっている!」

「急ぐよ!」


光は、いきなり、猛スピードで走り出してしまった。

キャサリン、サラ、春麗も同じように猛スピード、由紀も必死に後を追う。


ソフィーが空を見上げると、天神アポロ、天使長ミカエルと天使軍団も出現、駅の方に向かっている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます