第84話異変発生と分析

異変が発生した。

まず、光の阿修羅の合掌のポーズの完成と同時に、高村の全身が一瞬にして硬直、泡を吹いてソファに横たわった。

そして光が

「こいつは、内閣情報調査室なんとかの官僚なんかじゃない」

と、つぶやくと、高村の身体は、ブルブルと震えだす。


校長がソファから立ち上がった。

そして、胸ポケットから銀の十字架を取り出し、高村の額に当てた。

すると、ブルブルと震えていた高村の身体は、まるで置き石のように固まってしまった。

校長も苦々しい顔。

「確かに、これは官僚を名乗るニセモノ、さて、その実態は」


突然、ソフィーが校長室のドアを開けて、飛び込んできた。

そして光と校長に

「ああ、その通り、官僚を名乗って、各企業や学校などを恐喝して歩く犯罪者」

「正確に言えば、3月末を持って退職した元官僚」

「その退職間際に、職務上仕入れた情報とか、役所のパソコンを不正操作して、大量の機密情報を、個人PCに転送した」

ソフィーは、本当に厳しい顔をしている。


光は、ソフィーに尋ねた。

「ところで、退職の理由は自己都合だけなの?」

「なにか裏があるの?」


ソフィーは、また難しい顔。

「うん、表面上は自己都合」

「しかし、ここの校長室でも、わかったと思うけれど、かなり独善的、プライドだけは高い」

「通常業務においても、協調性も指導性にも欠けるので、同期の中でも昇給、昇進が遅れた、それが恨みなのかもしれないけれど」


光の次に、校長がソフィーに尋ねた。

「ソフィーさんが、光君の指示で、様々なセキュリティシステムの強化で動いていることも気に入らなかったようだけど」


ソフィーは、ますます、その顔を厳しくした。

「そうなんです、昇給遅れとか、昇進遅れでの自己都合退職なんて軽いもの」

「問題は、職務上知り得た情報とか、役所のパソコンの不正操作による大量の機密情報の不正取得」

「そのうえ、最近の内部情報まで把握している、つまり役所内部に内通者がいるのか、あるいは内部情報を知り得る特別なシステムでも、持っているのか」


光は、石のように横たわる高村をじっと見ている。

そして、声を低くする。

「そうなると、この高村の行動や頭の中まで、探らなくてはならない」

「それに内通者の調査もしなければならない」


校長も声を低くした。

「もう一つの問題は、彼と彼の内通者がいた場合で、もっと大きな黒幕があるかもしれない」

「彼は黒幕の手先に過ぎないということ」

「どうしても、日本国内に混乱を招きたい黒幕が、この元官僚を使って、光君を探りに来たことも考えられる」


ソフィーも、校長の考えに同意の様子。

「私も、こんな高村程度の男なら、光君を倒すための相手としては、小物すぎると思います」

「あくまでも偵察要員、ここで光君と校長に倒されることも、予定なのかもしれない」


ソフィーと校長が、厳しい顔で分析をしていると、光が

「その高村って人の内ポケットに、発信装置がある」

「タバコを吸いながら、操作していた」


ソフィーが光に頷き、高村の内ポケットを探ると、銀製の発信装置が出てきた。


光は、もう一言。

「実は、この校長室に入った時点で、気がついた」

「で、その時に、阿修羅君に頼んで、無力化してもらった」

ソフィーと校長は、本当に驚いた顔になっている。

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