第64話戦闘集団の後始末、春麗のほっぺたキス

阿修羅は、声を低くして、つぶやいた。

「やってきたことは、ただの破壊と人殺し」

「その恐怖を持って、他者を不安と混乱に導く」

「そのどこに、心のやすらぎがあるのか」


顔を厳しくする阿修羅の隣に、天空から地蔵が降り立った。

地蔵も、顔が厳しい。

「少しでも、悔悟の心があれば、救うことも出来るのですが」

「阿修羅様に、あの様子を見せられながらも、ナイフを振るうことを止めない」


地蔵の次に、天空からソフィーも降り立った。

そして、阿修羅に声をかける。

「とりあえず、全員拘束の手続きに入ります」

「国籍を調べて、全員国外退去処分になります」


阿修羅がソフィーにうなずくと、キャサリン、サラ、春麗も、集まってきた。


キャサリンは、阿修羅に深く頭を下げた。

「阿修羅様は、直接の戦闘は行わず、心を撃ったのですね」

サラも、本当に驚いた様子。

「身体の痛みよりは、おそらく一生続く心の痛みを与えた」

春麗は、ニコニコと笑っている。

「戦闘も実は見たかったけれど、その方が痛みは強いかな、さすが阿修羅様だ」


さて、そんな話をしていると、阿修羅の目が輝いた。

そして、次の瞬間、いつものボンヤリとした光に戻っている。


ソフィーが途端に、ニンマリ。

「だいたい、阿修羅への変化から、戻るとフラフラなんだけど」

「で、そこで、私がハグをしてっと・・・」

と、一歩足を踏み出すけれど、どうやら今回は「だいたい」ではない様子。


キャサリンの動きが瞬速だった。

「光君!」

さっと、光の右腕を組んでしまう。


これには光もあわてた。

「キャサリン、大丈夫だって、歩けるって」

必死に腕を抜こうとすると、今度はサラに左腕を組まれてしまった。

サラも、それでニンマリ。

「まさか、キャサリンに独占させないって」


これには、ソフィーも呆れ、地蔵は笑っているけれど、ただ、春麗の動きが不思議な感じ。


光、右腕を組むキャサリン、左腕を組むサラには目もくれず、軽やかに少し舞い、そのまま光の前に。


ソフィーが目をむいた。

「あ!まさか!」

キャサリンは、目を閉じた。

「失敗した・・・」

サラも悔しそうな顔。

「そうか、その手があったのか」


春麗は、そのまま光の頬に、「いきなりのキス」をしている。

キスをされた光は、その顔が真っ赤。

何をどうしていいのか、さっぱりわからない様子。


そんな光たちの様子を見ていた地蔵がクスリ。

「まあ、どうでもいいことです、それでは私と四天王は一旦」

そこまで語り、錫杖を振るった。

途端に、地蔵の姿、天空に浮かんでいた四天王の姿は消えている。


ソフィーは、本当に悔しかった。

「うーん・・・スピードとアイディアで負けている」

「まあ、ほっぺたキス程度なら許す」

「でも、そんなことより仕事しなきゃ」


そのソフィーの「仕事上の指示」により、警察官が集結、築地市場に集まっていた不穏な戦闘集団は、一斉に連行されていった。

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