第57話上空に浮かぶ地蔵と四体の異形

筋骨隆々系の外国人集団の行列は、築地場外市場を出ても、周辺の通行人などの恐怖を募らせた。


「何・・・すごい身体の人があれほど?」

「身体だけじゃないって、目付きも変・・・野獣みたい」

「何の目的があって、一斉に行列しているの?」

「築地本願寺に入っていくけれど、何故?」

・・・・

様々、恐怖の声があがっているけれど、まったく外国人集団の意図がわからない。


また、通行人の中には異変を警察に通報した人もいるようだ。

付近の警察から警察車両が築地本願寺の周辺に集結してきている。



光たちを乗せたソフィーの車が、築地本願寺前の駐車場に到着した。

ソフィーが車を降りると、事前に連絡がついていたらしい。

おそらく公安庁の職員と地元の警察官が走り寄ってくる。

そしてソフィーに

「官邸にも連絡済みです、しかし、住民退避の手続きについては、対応はしましたが、全員退避は困難かと、何しろ緊急過ぎるので」

との報告をする。


光、キャサリン、サラ、春麗も車を降りた。

車内での変化姿から、普通の人間の姿に戻っている。

それを確認して、ソフィーが公安庁の職員と地元の警察官に耳打ちをする。

おそらく光とキャサリン、サラ、春麗の身分を耳打ちしたのだと思う。

最初は、怪訝な顔をして光たちを見ていた公安庁職員と地元警察官の顔が引き締まった。


光が、公安庁の職員に質問をした。

「うすうす感づいてはいるけれど、あの人たちの黒幕とか目的は、公安としては把握されていますか?」


公安庁の職員の顔は厳しい。

光に頭を深く下げ

「おそらくグリーンベレー系の戦闘訓練を積んだ連中です」

「黒幕としては、中東に今でも残る暗殺教団の一幹部」

「目的は、築地市場の破壊と、それによる日本政府への示威行為」

「本来はグリーンベレー系と中東の暗殺教団は表面的には敵対ですが、グリーンベレー内で何らかの問題を犯した連中が暗殺教団にスカウトされたものと思われます」

「毒付きナイフ使い、拳銃使い、化学兵器使い、自爆操作、全てオリンピック級の格闘技術を持ち合わせた上での連中です」

様々、恐ろしい報告を厳しい顔のまま、光に対して行う。


そこまで聞いて、光はソフィーの顔を見た。

「住民退避も緊急過ぎて困難」

「そして戦闘力も、人間としてはかなりなものがある」


ソフィーも光の顔をじっと見る。

「そうなると、ここでも呪力結界かな」

「そうでないと、危険」

ソフィーの顔が引き締まった。

とにかく、本当に危険を感じている表情になっている。


ただ、ソフィーの引き締まった顔を見て、光はなぜか少し笑った。

そして、光は、上空を見上げはじめた。


その光につられて、ソフィー、キャサリン、サラ、春麗も上空を見上げた。


するとキャサリンが光にニッコリ。

「あれはもしかして?」

サラも目を丸くする。

「まさか・・・ここで?」

春麗も、うれしそうな顔。

「いやーーーすっごいなあ、さすが阿修羅だ」


ソフィーも笑いだしてしまった。

「まさか、ここで、あのお方たちを呼んだの?」


その見つめる上空には、おなじみの地蔵菩薩と、四体の異形が浮かんでいる。

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