第46話由香利の瞬速光奪取

しかし、光は、「やはり光」だった。

春奈に膝枕をされた途端、寝息を立てている。

春奈は、少し残念な気持と、うれしい気持が交錯する。

「少しぐらいは、この密着トークをしたいのに」

「でも、膝枕が光君を癒やすのは、ソフィーだけじゃないことが、これで実証された」

「もう、これでソフィーだけが、膝枕特権を主張できないわけだ」

そう思うと、本当にうれしい。

うれしさあまって、光の頭を撫でたくもなる。


その光の頭が、春奈の膝の上で向きを変えた。

光の顔が、春奈のお腹に密着することになった。


春奈は、うれしいような恥ずかしいような、顔を赤くする。

「むむ・・・光君、膝だけじゃなくて、私のお腹も好きなの?」

「夕ご飯食べた後で良かった」

「ソフィーみたいに、お腹鳴らさないって」

「でも、なんかドキドキする」

「ふふ、これも同居の役得かなあ」

そこまで思って、ますます顔が赤い。


・・・しかし、その春奈の赤面は長く続かなかった。


まず、ソフィーが血相を変えて飛び込んできた。

そして

「春奈さん!それは密着しすぎ、私と変わってください」


その春奈は、そんなことを言われても、受け流す。

「だってさ、光君が顔を私のお腹に向けたんだもの」

「それにさ、せっかく気持ちよく眠っているのに、そんなことしたら可哀想でしょ?」


ソフィーがムッとしていると、他の巫女たちも、厳しい顔でリビングに入ってきた。

ルシェールの顔も厳しい。

「どうして春奈さんだけが独占するんですか?」


そのルシェールに、他の同級生巫女が続く。


由紀

「同級生として、教師のそんな態度は許しがたい」

キャサリン

「私も、認めません、教師として不適格です」

サラ

「うーん・・・私の太もものほうが、ふくよかで眠りやすいはず」

春麗

「とにかく、独占禁止です、問題行為です」


ただ、もうひとりの巫女、由香利の動きは、言葉だけではなかった。

いきなり、春奈の隣に座り、光の身体を奪取。

そして、そのまま光の頭を自分の太ももの上に乗せてしまう。


春奈は、由香利のあまりの動きの早さに、全く反応できなかった。


そして、由香利は、「え?」という表情で見上げた光に話しかける。


「ねえ、光君、キャサリンたちと築地に行くんでしょ?」

「だったら、私も付き合う、もともと日本橋だし」

「それとさ・・・」

由香利の目が、そこまで言って、キラリと光った。


光は、その由香利の目に反応する。

そして、ゆっくりと身体を起こした。

「そうだね、築地と言えば、由香利さんの力も必要かな」

「というか・・・由香利さんの一族だよね」

光は、不思議なことを言い、由香利に頷いている。


ただ、あっけなく光を奪われてしまった春奈は、それでは納得できない。

ムッとした顔で

「ねえ、光君と由香利さん!全く意味がわからないって!」

「どうして、二人だけで納得し合うの?」


他の巫女たちも、ムッとした顔。

ただ、ソフィーだけがフンフンと頷いている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます