第34話史上最強空手VS金剛力士(4)

金剛力士阿形の、ものすごい肉体を見て、少々たじろいでしまった師範代ではあるけれど、やはり「史上最強を自称、自認」する空手道場の師範代である。

それに、弟子たちの前で、それを証明する絶好の機会と考えた。

そして、「試合開始」の声も何もない。


「キエィ!」

師範代は、思いっきり跳躍、そして渾身の力を込めた「一撃必殺」の突きを、金剛力士阿形の急所、みぞおちに向けて放った。


弟子たちは、その瞬間、全員が真っ青。

師範代のいつもの教えが、それぞれの脳裏に響いた。

「いいか、おれたちの史上最強の突きが、みぞおちに入れば、立っているどころか、生きていることも難しい」

弟子たち全員が、その恐ろしさを感じ、目を閉じてしまった。


次の瞬間


「ボコ・・・グゥウウ・・・」

聞こえてきたのは、師範代の苦しそうな声。


そして、弟子たちが、恐る恐る目を開けてみると、今度は師範代が手首を抑えて、のたうち回っている。


弟子たちが、二、三人、師範代に駆け寄った。

そして

「師範代!大丈夫ですか!」

と声をかけるけれど、師範代は痛みのためか、ほとんど声が出せない。

それでも

「手首が・・・手首が・・・」

と、しきりにうめく。

どうやら、手首を折ってしまったような状態らしい。


弟子の一人が、手首を抑えて苦しがる師範代に尋ねた。

「師範代・・・どうしますか・・・」

弟子としても、こんな事態は、全く想定していなかった。

途方に暮れてしまっている。


師範代は、苦しそうな声でうめく。

「とにかく、俺と、さっきの弟子の手当だ」

「それと・・・どうにもならない・・・道場内の事故とはいえ・・・」

「部外者に怪我をさせられたんだ、警察を呼べ」

「これは、暴行事件だ」

まるで、呆れてしまうような師範代ではあるけれど、絶対に他人に頭を下げない性格のようだ。

そして、その師範代の言葉を聞いて、すぐに弟子の一人が警察に連絡を取っている。


地域の若手の警察官が、すぐに、道場に入ってきた。

光と春奈、華奈、そして外国人女子高生を見て、少し怪訝な顔をするけれど、よく知らないらしい。

その次に、坂口と大男二人をちらっと見てから、手首を抑えて苦しがる師範代の前に座った。


警察官は、佐野というネームプレートを胸につけている。

その佐野警察官が師範代に尋ねた。

「師範代、大丈夫ですか?何があったんですか?」

師範代は、まだ苦しそうな声ながら

「ああ、いきなり道場破りだ、これは暴行事件だ」

「俺は手首を折られ、弟子の一人がスネを骨折かもしれん」


佐野警察官は、その言葉を聞いて、光たちの一行、そして坂口と大男二人に向き直った。

そして、いきなり怒った。

「何だ!お前たち!こんな地域に貢献している空手道場に殴り込みをして!」

「しかも、二人に怪我まで負わせ!」

「さっそく、暴行傷害事件として、署まで来い!」

「いいか!お前たち!ただじゃおかないぞ!」


しかし、佐野警察官の言葉を聞いた光、春奈、華奈はククッと笑い、キャサリン・サラ・春麗は、呆れたような顔。

坂口と大男二人は、佐野警察官を、厳しい目で見つめている。

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