第32話史上最強空手VS金剛力士(2)

空手道場に入っても、特に弟子たちの大騒ぎは止まらない。

また、師範代も、坂口に小馬鹿にされたためか、顔を真っ赤にして怒っている。


そんな状態で、まず、金剛力士の阿形が道場の真ん中に立ってしまった。

もちろん、試合開始も空手道場側の選手の順番も決まっていない状態である。


阿形は、腕を組み、師範代に声をかけた。

「さあ、教えてくれ、まずは、お前たちの打撃の力をな」

「一人でも、二人でも、何人でもいいか」

「蹴りでも突きでも、適当にやりたいだけ、やってみてくれ」


そんなことを言われた師範代は、ますます顔が赤くなった。

中量級の選手をまず一人手元に呼び

「いいか、怪我をしても、あの柔道野郎が責任を持つって言い切った」

「だから、思いっきり蹴っていい、手加減するんじゃないぞ」

と、声をかける。


師範代に、指示された中量級の選手は、うれしそうな顔。

「師範代、これで史上最強の本物の力を出せるんですね」

「怪我させても何でもいいって言うなら、思いっきりいきます」

そこまで言って、クックと笑っている。


そんな中量級の選手に、突然阿形が声をかけた。

「おい!そこの坊主!くだらん相談をしているんじゃない!」

「待ちきれない、さっさと来い!」


師範代も、その中量級の選手も、この阿形の言葉には、カッとなったらしい。

師範代は、もう一つ指示

「いいか、急所でも目突きでも何でもいい」

「痛い目を見せてやれ!」


中量級の選手は、師範代のその言葉を受けて、阿形の正面に立ち、構えを取った。

そして

「ふ・・・スキだらけじゃねえか」

「何ら防御の姿勢ができていないぜ、オッサン」

「いいか、ちょっとでも、この史上最強の空手の蹴りとか突きが入れば怪我をするぜ」

「へへ、手加減もしないぜ・・・なにせ、師範代のお墨付きだからな」

と、ブツブツとつぶやきながら阿形に向かって、まずは蹴りの構えを取る。


阿形がまた、口を開く。

「おい!坊主、待ちきれない」

「何でもいいから、かかってこい!史上最強とやら!」

阿形は、ここでも腕を組んだまま動かない。

まるで、立像のように見える。


中量級の選手にとっては、この阿形の言葉による挑発が限界だった。

そして

「この!この野郎!なめやがって!」

とにかく、思いっきりのローキックを、阿形に向けて繰り出した。


その様子を見て、空手道場側は、真っ青。

とにかく、阿形が、全く避ける動きがない。

いくら、怪我は相手持ちと言っても、怪我自体は避けられないと思ったようだ。


しかし、それを見ている春奈、華奈は眠そうな顔。

キャサリン・サラ・春麗は、空手道場そのものが珍しいのか、あちこちをキョロキョロと見ている。

金剛力士のもう一体の吽形、坂口、光は、ほぼ居眠り状態になっている。


「ボコ!グギャーー!」

次の瞬間、凄まじい悲鳴があがった。


空手道場側は、その悲鳴の主を見て、目を丸くしている。

光たちの一行は、全員が、全然雰囲気を変えない。


そして、全く立ち姿を変えない阿形の前で、その中量級の選手は自分のスネを抑えて、すでに立ち上がれない状態。

それどころか。口から泡を吹いている状態となっている。

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