第29話自称史上最強空手着集団の恫喝

空手着を来た集団、五、六人が近づいてきた。

光たちは、一応、道を譲るように道路わきを歩くけれど、その空手着集団は頭も何も下げない。

それどころか、先頭を走る、おそらく空手道場の師範か何かだろうか、光の顔を見るなり、声をかけてきた。


「おいおい!そこの少年!そんな華奢な身体だと、お連れのお嬢さん方に嫌われるぞ!」

「嫌われたくなかったら、この史上最強の空手道場に通え!」

「いいか!わかったか!」

その師範代らしき男がそこまで言うと、後をついて走ってきた弟子たちがゲラゲラと笑い出す。


「ギャハハ!おもしれえ!師範代!」

「なあ、可愛い女の子ばかりじゃねえか!」

「こんな華奢な奴に、ついて歩くなら、俺たちについて来いよ!」

「史上最強だぜ!ギャハハ!」


ただ、光たち一行は、そんな集団のくだらない言葉には反応しない。

そして、一時は興味を持った春麗、キャサリン、サラも、既に興味はない様子。


春麗

「あの走り方で、全てわかる、筋力、スピード何もなし」

キャサリン

「リズム感も感じられないので、かなり弱いはず」

サラ

「かかわるだけ、時間の無駄です」


ただ、華奈だけが不安を感じた。

「あの人たちって、弱気そうな華奢な男の子を道場に連れ込んで、メチャクチャに痛めつけるとか」

「地域の清掃の時に、可愛い女の子を見つけると、超しつこくナンパするとか」

「だから、とにかくかかわっちゃだめ」


春奈も、不安を感じた。

「そう言えば、華奈ちゃんの言うような噂を聞いたことがある」

「表向きは地域の自治会に積極的に協力する健全な空手道場、実はカツアゲ、暴行、ナンパ、付け回しばかり」

「自治会もそれを知っているけれど、万が一の報復を恐れて、何も言えない」

「交通安全活動とか、地域警察にも協力しているので、警察も苦情を言われても捜査まではしない」

「それどころか、空手道場での暴行まがいの練習は、熱心さのため」

「カツアゲとか、ナンパは証拠写真を見せないと、捜査しないと言い切るらしい」


さて、光たち一行は、関係したくないので、その歩みを止めて、道路わきによけた。

そうしていれば、空手着集団は、通り過ぎていくと思った。


しかし、そうはならなかった。


空手着集団の先頭を走っていた師範代は、光たち一行の前で、走りを止めた。

そして、まず光を小馬鹿にしたような目で

「おい!そこの少年!何だ!その華奢な身体つきは!」

「今後の日本を背負うべき若者が!恥ずかしいと思わないのか!」

その師範代は、光にそう言った後、今度は光と一緒に歩いてきた巫女集団を舐め回すように見て、


「それになんだ!」

「こんなに美しい女性たちを引き連れて!」

「いいか!こういう美しい女性たちは、お前のような華奢でノロマなガキにはもったいない!」

「俺達のような、史上最強の男たちにこそ、ふさわしいんだ」

「おい!そこのガキ!わかったか!」

「わかったなら、さっさと家に帰れ!」

「俺たちが、この美しい女性たちを、ちゃんと喜ばせてあげる」


後ろからついてきた弟子たちも騒ぎはじめた。

「おいおいおい!そこのガキ!さっさと尻尾巻いて帰れ!」

「お前みたいな弱々しいガキには、もったいない!」

「文句あるなら、言ってみな!道場でボッコボコにしてさしあげるぜ!」

最後の言葉で、師範代も弟子たちも、大笑いになっている。

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