第10話表彰式

春奈は、少し笑いながら、話だした。

「でもね、光君は、この日本で生まれたの、そこにも阿修羅の意図があると思うよ」

「それにさ・・・光君はさ・・・かなりな子なんだ」

そこまで言って、由紀の顔を見る。

由紀も、春奈の心を読んだ。

「まあ、あのいい加減な光君の心だよ、そんな簡単に落とせるわけがない」

華奈も、すぐに反応した・

「ふん、私は何があっても引き下がらない、誰が相手でも身を引かない」

華奈が、そこまで言うと、ソフィーもニコッと笑った。

少し明るくなった声で

「まあ、私たちも簡単には負けない」

「さあ、始業式さ、行きましょう」

といい、ようやく日本育ち巫女も、始業式の行われるホールへと向かうことになった。


始業式は、毎年恒例の校長の厳かな挨拶で始まった。

「昨年度は、学生諸君の様々な努力により、有名大学への進学者が例年通り素晴らしかったこと、そして各部活動での各種大会での実績も、例年に増して素晴らしいものとなりました」

「ここに、校長として、学生諸君に敬意を表するものであります」

校長は、ここで深く頭を下げた。

ホールに集合した生徒たちも、ここでは神妙に耳を傾けている。


校長は、話を続けた。

「そして、学生諸君もご承知の通り、特に音楽部、合唱部、軽音楽部は、例年にも増してというよりは、本学園始まって以来の、素晴らしい実績を獲得してくれました」

「そこで、本日の始業式において、その全ての音楽関係の実績の中心となった光君と、合唱コンクール全国一位を達成した合唱部部長の由紀さんに、賞状と記念品を授与するといたします」

校長が、ステージの袖口にいる光と由紀に、目で合図をした。


そして、少し顔を赤らめた光と由紀は、連れ立ってステージ中央に歩いて来る。

「うぉーーーー!」

「わーーーー!」

「光くーん!」

「由紀さーん!」

ものすごい歓声と拍手に光と由紀が、包まれる。


校長が賞状を持ち、光の前に立った。

「光君、おめでとう、受け取ったら、会場に向いて」

と言いながら、光に賞状を手渡した。


光は、また顔を真っ赤にしながら

「ありがとうございます」

と、賞状を受け取り、校長の指示通りに会場に向き直った。


「おめでとうーーー」

「光くーん!」

「光さーん!」

光は、ここでも、すごい拍手と歓声に、包まれる。


次に校長は、記念品授与係として華奈を校長の脇に呼び、記念品を渡した。

華奈は、校長の目の合図で、由紀の前に進み、

「おめでとうございます」

珍しく、お嬢様風な声を出して、由紀に記念品を手渡した。


校長は由紀にも声をかけた。

「由紀さん、会場に向き直って」


由紀は、その校長の指示通りに会場に向き直った。


「由紀ちゃーん!」

「由紀さーん!」

「おめでとうーーー!」

由紀も、すごい拍手と歓声に包まれるけれど、意外なことに、華奈にも声がかかった。


「華奈ちゃ~ん!可愛い!」

「ますます可愛くなったーーー!」

華奈も結局会場に向き直った。

珍しく誉められて、華奈も真っ赤な顔になっている。

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