第5部『トゥルーエンディング』

ミカサと三笠


 ミカサの正体、それはネット炎上で一時期に活動を休止していたゲーマーでもある蒼空(あおぞら)ミカサだった。

彼女は草加市を中心とした拡張エリア『オケアノス』において、様々な炎上案件を起こしてきている。

チートプレイヤーを駆逐したと思ったら、次に標的としたのは特定芸能事務所に投資するアイドル投資家――。

彼女の行動はネット上でログが残っているだけでも100以上に及ぶという話だ。

 しかし、ログが残っている物以外も可能性が否定できない為――全てが判明するのは不明と言うべきだろう。

『この動画を見ている君たちには――全てが分かっているだろう。一連の事件に関しての犯人――』

 彼女は一連の事件が、ランダムフィールド・パルクールの運営側にあると考えて行動していた。

しかし、どのタイミングで知ったのか? それが明らかにされる事はないだろう。

『私は見たくない物を全て排除する為に、一連の行動を起こした訳ではない。デスゲームを起こさせないために――』

 彼女の定義しているデスゲームとは何なのか? ある人物は、ネットサーフィンをして――あるアニメ作品に辿り着く。

その登場人物の一人が、ネット炎上をきっかけとして異世界に転生すると言う――そんな作品だったかもしれない。

他にもネット炎上をきっかけにして復讐をするようになる作品も発見でしたが、WEB小説由来だと言う事がわかった。

もしかすると、こうした作品がネット上では人気になっている証拠なのかもしれないが――。

『あなた達はオケアノスの存在目的を知った時、それを受け入れる事が出来る覚悟を持っていますか?』

 ミカサは、こうも言っていた。一連のマッチポンプ案件はニュースにもなったのだが、それは数日ほどで収まってしまう。

その理由の一つとして、オケアノスの話題がマニアック過ぎて反応しづらいのも原因だろうか?



 それから数日が経過し――4月1日。この日は晴天だったらしい。天気予報では曇りだったらしいが――。

各所ではエイプリルフールと言う事もあって、ネット上でも何が嘘で何が真実なのかは判別がしにくい状況にある。

【芸能事務所AとJが倒産とか――もう少しマシな嘘はないのか? これは悪趣味すぎるぞ】

【オケアノスではエイプリルフールでもネタに走るような事はない。ファンサービス的なネタもあるが、ごく一部だけだな】

【ゲームメーカーの中にはエイプリルフールに本気を出す所もあるが――】

【特にネタで注目されているメーカーならば、何処かのまとめサイトに載るだろう】

【オケアノスでは、嘘に見せかけた真実も存在する。その法則を生み出したのが――ミカサだからな】

 ネット炎上が無意味なものであり、自滅を招くと――ミカサは明言している。

ライバルを減らす為に行った炎上行為が、その作品のプレイヤー民度が低いと判断され――自滅すると。

「オケアノス以外でも繰り返されたネット炎上――それでもうけようと言う考えが、排除されるべき考えだと言うのに」

 草加駅近くのセンターモニターで中継を視聴していたのは、コートに袖を通していなかったビスマルクである。

彼女は一連の事件に関して思う部分はありつつも、ARパルクールを楽しんでいた。

「やはり、ネット上の噂は噂でしかないのか」

 ビスマルクが目撃した噂、それは『オケアノスを運営しているのはゲーマー』と言う物だ。

どう考えてもネタにすぎないだろう――と。一部の勢力も否定し、炎上勢力は『それこそ特定勢力に対する圧力だ』とまで言い出す始末。

ミカサの正体が三笠である事はネット上でもしばらくは話題になっていると言うのに、この差には――言葉に出来ない。

【三笠がミカサと言われても――今更だよな】

【しかし、これではっきりしただろう。ナガトの正体が長渡だったという段階での記事だっただけに――】

【三笠はネット炎上して、そこから転落しての過去の人扱いだ。今となっては、注目される存在とは言えない】

 三笠がミカサだった事実、それを気にすることなく行動する人物が多い証拠だろうか?

三笠自身は過去の人物ではないのだが――SNS上では過去の人扱いなのかもしれない。



 その過去の人物である三笠によってランダムフィールドの真実を語られた事には、意味があった。

彼女のネームバリューが未だに強かった事、オケアノスの様々な都市伝説も真実だと証明されたと言えるだろう。

 しかし、都市伝説が真実だと判明しても謎の部分が存在していた。それは――草加市がオケアノスで起きている事を把握した上で、資金を出していた事である。

草加市における聖地巡礼のエリアを増やす的な計画がスタートラインなのは分かっているが、それに関してゴーサインを出したのは――。

(どちらにしても、このガジェットの秘密を含めて――)

 谷塚駅に到着した西雲春南(にしぐも・はるな)は、レースの中継を見て疑問に思う部分が再浮上する。

フレスヴェルクから託されたARガジェットの存在――。それがアカシックレコードの技術だと言う事までは分かっていた。

しかし、その再現度は――自分の目を疑う様な物だったのは間違いない。

「再び、ランダムフィールドは動きだすのか――ネット炎上を含めて」

 繰り返されるネット炎上――それが無意味なのは分かっていても、彼らは金もうけ等の為に炎上を行っている。

悲劇の連鎖は、ここで終わらせるべきと西雲は覚悟を決めた。

【ミカサと三笠――何が違うと言うのだ? 彼女が行った事はー―ランダムフィールドにSNSテロを起こした事に変わりはない】

 このSNS上のコメントが全てを――ランダムフィールド・パルクールで起こした事件に関して表現出来ている。

SNSテロの訓練と言う決着で幕を閉じたはずのオケアノスを舞台としたパルクールは、まだ終わっていなかったと言ってもいい。

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