そいつ
わたしはそいつに無視される
だからわたしもそいつを無視し返す
いつだってそいつはわたしを無視する
無視し続ける
まるでわたしが存在していないようなふりをする
その理由がよくわからない
だが世界の外側はいつだって理解不能に満ちている
きっと自分には想像の尽かない深い理由があるのだろう
そいつはいつもわたしの視界から隠れている
ほんの少しだけその正体を窺わせている
匂いがほのかに残っている
「………そこにいるんだろ?」
わたしのことを終始、観察している
わたしはそいつの役目を想像しおかしくなる
そちらへ視線を移すと慌てて隠れる
もうばれているのに
諦めてさ
姿を現せよ
そいつは自分のことを運命と名乗っている
わたしは明日の朝に自分の隣りで微笑んでいるかもしれないと思う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます