見えない背後

頭がぼんやりしている

だから気付かなかった

後ろから刺されていた

まだ何かを思う前だった

だが既に挿入されていた

血がおびただしく流れた

前のめりに倒れた

全部、夢さ

そう思い込みたかった

だが痛みが覚めることを許さなかった

床に顔面から着地する前に

振り返って

自分を刺した者の顔を確かめようとした

そいつは見覚えの無い顔だったが

にやりと口元が歪んでいるのはわかった

頭の中は何故かろくでもない方程式に挑んでいた

あーあ残念だな

ここで終わりか

うつ伏せで目を閉じて

そしてもう二度と目覚めない

それはどのくらいよくあることなのだろう

神様に質問する内容を思いついたのだが

おそらくそいつは色の無い果実に似ているだろう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る