わたしの可愛い傷口

傷口に

とても刺激のある

毒を塗り込む

そうすると発狂しそうになる

だから笑いが止まらない

傷口が

そんなことをするのはやめてくれと

泣いて頼む

わたしは聞く耳を持たない

どんどん加虐心を剥き出しにする

血が噴き出す

現在進行で悪化してゆく

おそらくもう助からないだろうと外野から解説が加えられる

げらげら

愉快で仕方なくなる

傷口を

徹底的に痛めつけてやろうと画策する

誰も心の底から助けてくれやしない

崖から転落して死ぬことを望むとき

誰が最も親切だと言えるのだろう?

偽善者がいる

わたしの望むものをけして用意しない連中

傷口など

これ以上、眺めるのはうんざりだと嫌味を言われる

ただこの場所にいるだけで

それが迷惑だと主張する

わたしはにやにや笑う

この世界が自分たちのためだけに用意されていると勘違いしている

どうでもいいさ

最後まで突き付けてやろう

まるで存在しないかのように思いたいものを

視界の外へ葬り去ってしまいたいものを

提示しよう

傷口が

もう修復不能だと喚き出す

だがそれは始めからわかっていること

こうなることは予測済みだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る