空を飛びたいと思ったまま

空を飛べないこの状態が

何だか素晴らしいと思えたのだ

出来れば

ほんとに空を飛びたいと思っているけど

誰の力も借りないまま

両腕を羽根のように広げ

ふわりとこの地上から飛び立ってみたいのだ

役目を失くした靴が

もぞもぞされ落下させられるだろう

空には信号機がまだ無いから

きっと気ままだろう

考えれば考えるほど

空を飛ぶことは素晴らしく思えるけど

でも空を飛んでしまっては

もう空を夢想することは出来ないんだ

それは現実の中に取り込まれて

選択肢の一つでしかなくなるだろう

わたしはきっと空を飛んで

コンビニへ菓子パンを買いに行くだろう

空を飛びたいと思ったまま

空を飛べない今日というこの日の空は

まだあの頃と同じように広いままだから

わたしは空を飛べなくてもいいのかなと思えてきた

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