異世界ケースバイケース

目木土

ケース1「ウソつき」

ー 逃げたぞ!追え! ー

ー 二年振りの"渡り"だ!逃がすな! ー




「煩いね、何事だい?」


「こ、これは失礼しました!実は今しがた」


「僕が聞いているのはだね近衛兵団長補佐殿、それはこの僕が、王より直々に賜った田園で、僕の許可を得ず、あまつさえ僕の思索を遮ってまで行う事なのか?そういうことを聞きたいんだけどね?」


「は、はい!とんだ失礼を!」


「元よりここは僕の領域だよ、猫の子一匹入ったってすぐに分かる…ほら行った行った、この事はなかったことにするから。」


「はっ!失礼します」


「…さてさて、この時期になると騒がしくていけないね…まぁ許してくれたまえよ、"渡り"君?」


ほんの数分前、わけもわからず逃げ込んだ先で見事な詐欺師振りを見せた『偉そうな人』は、テーブルの下の俺を見てくすりと微笑んだ。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る