第27話 ちんしこはスローモーション04

 なんとなく、アポロ11号のことを考えていた。

 人類初の月面着陸は、それはもう、大きなニュースになったそうだ。


 日本では深夜のことだったにもかかわらず、衛星生中継されて、寝不足になりながらも大勢が経緯を見守ったそうだ。



 その際の、ニール・アームストロングの名言は、今をもって語り草だ。




 これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である――。




 それから、50年が過ぎる。

 宇宙開発は、生き馬の目を抜くようである。


 月面着陸から半世紀で、科学技術力は発展し、太陽系の外に飛び出すのも、きっと時間の問題である。



 なんとなく、その時俺は、アポロ11号のことを考えていた。




 月面着陸が人類にとって偉大な飛躍なら、俺のザーメン着陸は、果たしてどうなのかと考えていた。






 童貞非モテの苛められっ子が、スクールカーストの最頂点の少女の顔に、ザーメンをブッかけるなんて、奇跡以外であり得るのだろうかなんて、俺の頭はぼんやりしていた。






 直後、まるで時間が止まったみたいになる。

 取り囲んだ彼女たちは、俺を抱えたスポーツ女子が、ひっそりと息をのむ。


 直後、とたんに教室内は青臭くなる。



 そいつの肌の白い顔と、俺の白いザーメンと、コントラストが綺麗だと、なんとなく思う。



 ややあって、そいつは顔に引っ付いたザーメンを、手指で拭った。

 にちゃにちゃになった利き手を、眼前に掲げて、手指をひろげた。


 ぬた――と、俺のザーメンが、彼女の指の間で糸を引き、指の股に落ち、引っ付いた。



 不可思議そうに、そいつはぽかんと、くちゃくちゃと、ザーメンを手に馴染ませた。




 ややあって、そいつは顔に引っ付いたザーメンを、手で拭い、鼻に寄せた。




 なにが起こったのかを、理解が追い付かない。

 ――彼女はどうやら、そんな表情だ。

 なにが自分にすっ飛んだのかを、理解が追い付かない。

 ――彼女はどうやら、そんな心境だ。


 俺の完全勃起した皮かむりちんちんから、コンコルドみたいにザーメンが発射されたなんて、ちっともわかっちゃいない。



 放物線というか、ほとんどライナー軌道で、松井秀喜のホームランみたいな、イチローのレーザービームみたいな、ちっともわかっちゃいない。



 じっくりと、彼女はそして手を見る。

 べったりと、ザーメンがそこには引っ付いている。


 じっくりと、彼女はまた、頬をなぞる。



 べったりと、またザーメンが、そこには引っ付いてくる。



 くわ――と、顔色が変わった。

 制服の上着を、スカートを、彼女は見た。

 くわ――と、顔色が変わった。

 真っ白な脚を、ソックスを、上履きを彼女は見た。


 くわ――と、顔色が、どんどん変わった。



 青くなったみたいに、真っ赤になって、目じりがぴくぴく痙攣した。




 とりあえず、顔や手のザーメンを始末したくて、彼女は制服の裾や、袖に、慌ててごしごし擦り付けた。




 その時に、俺にも感情が戻る。

 やってしまったと、恐怖感がぼんやりとともる。


 それと同時に、興奮が、またぞろやって来る。


 俺はそいつにブッかけた。

 いじめの主犯にブッかけた。


 俺の子種が、そいつの肌から、化粧水みたいに浸透していった。



 俺はそいつに、搾りたてのフレッシュ・ちんしこミルクを、これでもかと大量にブッかけた。




 泣きながら、血が出るまでちんしこして、いつかはいつかはなんて思っていて、ほんのまぐれで、とうとう成し遂げた。




 様を見ろ――。

 様を見ろ――。


 様を見ろ――!



 人のことを弄んで、報いを受けたんだ、様を見ろ――!




 あんたが俺を、おもちゃみたいにして遊ぶから、だから俺のザーメンはすっ飛んで、アポロ11号みたいな奇跡で、顔面ザーメン着陸だ!






 人の尊厳を奪うようなことをしたから、だからあんたの尊厳は、顔にブッかけられたザーメンみたいに、まるでそれ以下みたいに、ぐずぐずに今崩れて消えた!






 なんとなく、アポロ11号のことを考えていた。

 人類初の月面着陸は、それはもう、大きなニュースになったそうだ。


 日本では深夜のことだったにもかかわらず、衛星生中継されて、寝不足になりながらも大勢が経緯を見守ったそうだ。



 その際の、ニール・アームストロングの名言は、今をもって語り草だ。




 これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である――。




 それから、50年が過ぎる。

 宇宙開発は、生き馬の目を抜くようである。


 月面着陸から半世紀で、科学技術力は発展し、太陽系の外に飛び出すのも、きっと時間の問題である。



 なんとなく、その時俺は、アポロ11号のことを考えていた。




 月面着陸が人類にとって偉大な飛躍なら、俺のザーメン着陸は、果たしてどうなのかと考えていた。






 アポロ11号というよりは、ミッションを失敗したアポロ13号だと気付いたのは、ほんの直後だった。






 がたたん――なんて、そいつは立ち上がる。

 椅子の代わりにしていた机が、勢いに巻かれて、ひっくり返るみたいになる。


 憤怒の表情で、そいつは俺に、ずかずか歩み寄る。



 とりまきたちが、スポーツ女子が、また小さく息をのむ。



 青臭いにおいが充満していた。

 緊張感がどろりと渦を巻いていた。


 やってはいけないことをしたと、恐怖が、興奮を上回った。



 俺は今、まさか殺されるのではなんて、真面目に考えた。



 こんなことなら、行きつけの女子トイレで、本当に首を吊っておけばよかった。

 ロープを持ち込んで、末期のちんしこをして、なんで俺ばかりなんて、俺は泣き崩れた。


 悔しくて悔しくて、死ぬのが怖くて、悔しくて悔しくて、ちんしこが止まらなかった。



 悔しくて悔しくて、たくさんの射精をして、悔しくて悔しくて、個室はひたすらに青臭くて、死んでたまるかなんて思った。




 西日の沈んだ放課後の教室で、半裸にされて女子たちに囲まれて、ぎんぎんのちんちんを踏んづけられて死ぬなんて、男の夢みたいな最低の死に方だ。






 こんなことなら、果てるほどにちんしこして、青臭いにおいと鉄のにおいと、白いザーメンと赤い血流と、行きつけの女子トイレで本当に首を吊っておけばよかった――!






 てめー、なにしてんだよ――。


 上履きの足が、俺のちんちんを踏む。

 ぐいい――と、がちがちのちんちんが、下腹部にめり込んでいく。


 ぶるる――と、がちがちのちんちんが、痛いのか苦しいのか、唾液の量を増やしていく。



 今にもすぐにも、第二射を掃射しそうになって、ふぐりの床に引っ付いたのが、冷たいよりも俺の熱で、床板の方が燃え上がっていた。



 おまえたち、そいつを抑えてな――。

 睨むように、彼女は言った。

 つと、足を外すと、俺のちんちんには、彼女の足跡がついていた。


 くっきりとしたそれは、赤く蚯蚓腫れみたいで、ちんちんぎりぎりのサイズの、彼女の足は小さいなと思った。



 くっきりとしたそれは、赤く蚯蚓腫れみたいで、ちんちんぎりぎりのサイズの、彼女のおまんこは小さいなと思った。



 また、ちんちんがびん――と、天を突く。

 くっきり足跡がついて、彼女のものになったちんちんは、すっかり懐いてしまっている。


 既に心はばきばきで、俺はそいつにブッかけて、服従させて、服従させられた。



 既に心はばきばきで、俺はそいつにブッかけて、服従させて、踏んづけられて、殺された。




 また、ちんちんがびん――と、忠誠を誓うみたいに、天を突く。






 ヒトにザーメンブッかけて、ブッかけられないなんて、そんなことないよなあ――?






 なにを言ってるのだろうと、瞬きをする。

 なんとなく、アポロ11号のことを考える。


 月面着陸が人類にとって偉大な飛躍なら、俺のザーメン着陸は、果たしてどうなのかと考える。



 童貞非モテの苛められっ子が、スクールカーストの最頂点の少女の顔に、ザーメンをブッかけるなんて、奇跡以外であり得るのだろうかなんて、俺の頭はぼんやりと――。



 ひっくり返ったみたいな机を、彼女は定位置に戻した。

 野球で左バッターがアウトになって、右バッターが打席に立った時の、外野手の動きみたいだった。


 ひっくり返ったみたいな机に、そいつは足をかけて、行儀が悪いなと俺は思った。



 机の上でそいつは、縞々のお子様パンツを丸見えにして、うんこ座りというやつをした。




 そしてあろうことか、お子様パンツのクロッチの部分を脇に寄せて、俺のちんちんがぎっしりになるようなおまんこの、その入り口を見せつけた。




 ――!

 ―――!


 迷うことなく、俺の視線は寄せられる。

 当然ながら、初めて目に焼き付ける、女の子の花弁である。


 叢の整わないそこは、ほとんどつるりとして、ちょっとだけピンク色が見える。



 おまえたち、そいつを抑えてな――。




 ヒトにザーメンブッかけて、ブッかけられないなんて、そんなことないよなあ――?






 あんたにも、あたしの搾りたてのを、ブッかけてやるからな――!






 くぱ――と、彼女は、自分をひろげた。

 おまんこどころか、ほんの小さな尿道口まで、くっきりと見えた。


 前のめりになって、俺は目に焼き付けて、服従したちんちんがまた涎を垂らした。



 ふく――と、そして尿道口がひろがって、やがて黄金色の聖水が飛び出して――。




 ばたばたと、それは俺に目がけ、飛んできた。

 ばたばたと、それは俺のワイシャツで、弾んで飛沫を上げた。


 ばたばたと、顔まで跳ねて、口に入って、俺は飲まされた。



 つぎつぎと、おしっこは放出されて、俺はすっかり、彼女のレモン色になった。




 やがてにおいたって、排泄物をブッかけられてるとやっと気づいて、惨めになって、悲しくなって、俺は泣いて、興奮して、ちんちんがまたぎんぎんになって、惨めになって、悲しくなって、触ってないのに射精した。






 彼女のおしっこと、俺のザーメンと、放物線を交換するみたいに、教室の床を汚して、青臭いにおいで、おしっこのにおいに上書きされて、射精がちっとも止まらなかった。






 なんとなく、アポロ11号のことを考えていた。

 人類初の月面着陸は、それはもう、大きなニュースになったそうだ。


 日本では深夜のことだったにもかかわらず、衛星生中継されて、寝不足になりながらも大勢が経緯を見守ったそうだ。



 その際の、ニール・アームストロングの名言は、今をもって語り草だ。




 これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である――。




 それから、50年が過ぎる。

 宇宙開発は、生き馬の目を抜くようである。


 月面着陸から半世紀で、科学技術力は発展し、太陽系の外に飛び出すのも、きっと時間の問題である。



 なんとなく、その時俺は、アポロ11号のことを考えていた。




 月面着陸が人類にとって偉大な飛躍なら、俺のザーメン着陸は、果たしてどうなのかと考えていた。






 俺はアポロ11号で、アポロ11号というよりはアポロ13号で、俺がアポロ13号ならば、きっと彼女は本当に、偉大な飛躍を果たしたニール・アームストロングのアポロ11号で、ザーメンとおしっこの放物線の交換で、パラシュートを開いて生還するのだ。






 詰まるような空気が、解けていく。

 嘲るみたいに、彼女が笑う。


 詰まるような空気が、解けていく。



 嘲るみたいに、彼女達が笑う。




 おしっこをブッかけられて、情けないみたいに俺は笑って、射精の止まらない飼いならされたちんちんに、もうお前は要らないのだから、股からぶっちぎれて家出をしろなんて思って、それでもきっとこれからもちんしこをする。




 勃起してんじゃねーよ――。

 こいつ興奮してんぜ――。


 あたしたちで抜いてんじゃねえの――。



 勃起してんじゃねーよ――。

 こいつ興奮してんぜ――。


 たまには皮剥いて、ちゃんと洗えよ――。



 射精してんじゃねーよ――。




 射精がぜんぜん止まんねーじゃん――。






 おしっこブッかけられんのが好きなんじゃねえの――。






 こんなことなら、行きつけの女子トイレで、本当に首を吊っておけばよかった。

 ロープを持ち込んで、末期のちんしこをして、なんで俺ばかりなんて、俺は泣き崩れた。


 悔しくて悔しくて、死ぬのが怖くて、悔しくて悔しくて、ちんしこが止まらなかった。

 悔しくて悔しくて、たくさんの射精をして、悔しくて悔しくて、個室はひたすらに青臭くて、死んでたまるかなんて思った。



 西日の沈んだ放課後の教室で、半裸にされて女子たちに囲まれて、ぎんぎんのちんちんを踏んづけられて死ぬなんて、男の夢みたいな最低の死に方だ。




 こんなことなら、果てるほどにちんしこして、青臭いにおいと鉄のにおいと、白いザーメンと赤い血流と、行きつけの女子トイレで本当に首を吊っておけばよかった――。






 びしゃびしゃのまんまで放り出されて、ズボンもパンツも取り上げられて、死んだみたいになったのを、巡回の教師が発見し、救い出されて送られた。






 不問で終わったのは、俺のためか彼女たちのためか。

 不問で終わったのは、俺の尊厳を守るためか彼女たちを問題にしたくなかったのか。


 着替えは用意してくれて、おしっこまみれのワイシャツは、ぐるぐるにして鞄に仕舞った。



 洗濯にも出せないそいつは、惨めな気持ちの象徴として、しばらくそいつでちんしこをした。




 アポロ13号みたいになんとかかんとか、乗組員は無事に生還し、ジュニアは家出をすることもなく――。






 俺の個室のスウィート・ハニーに、あんたがどうして座っているのか、教えられても、きっと絶対理解はできない。

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