第3話 世界のちんしこ車窓から03

 サンクチュアリは都市型の高校の、狭苦しい敷地の、校舎の外れとグラウンドの境界にあった。日当たり良好とは言い難いもので、四六時中なにかの影になっていて、昼間だって薄暗くじめじめしていた。

 ちんしこマンは、颯爽とそこに至る。

 照明のスィッチをばちんとやれば、使い古されて黄色くなり、切れかかった蛍光灯がちらちらと瞬く。

 俺は一歩踏み込んだ。

 しと――と、湿気を含んだタイルが、俺の靴底を押し返した。


 整然とした洗面台や、天井の隅の黒カビや、タイルの目地の水垢や、個室の奥の洋式便器たちが、待ってましたと輝いたように俺には見えた。


 おはようマイハニー、ちんしこマンがご帰宅だ、元気にしてたかい。

 24時間ぶりの再会だ、今日も特別可愛がってあげるから、きみたちの可愛い声を聞かせておくれよ。



 ちんしこマンは今日も、ザーメンタンクがパンパンになっているから、いくらだってきみたちを悦ばせてあげられるぞ。




 ズボンの中でちんしこジュニアが、きみたちに挨拶をしたいと、やおら勃ちあがって涎を垂らしているぞ。




 さて、俺は両手をひろげた。

 病院で検査のために、レントゲン写真を撮る時みたいに、大きく空気を吸い込んだ。


 ――濃厚!


 今日も素晴らしい臭気、いや香りだ。

 酸味のほとばしった中に、アンモニアが混じり、排水口から汚臭が上った。



 今日も素晴らしい臭気、いや香りだ。




 これぞ熟成された、女子たちの汗とおしっこと、経血となんやかの結晶だ。






 特等のブルーチーズの、いいところを寄り合わせたみたいで、ちんしこジュニアがいっとう元気になった。






 さすがは俺のサンクチュアリである。

 さすがは秘境の女子トイレである。


 校舎の外れと、グラウンドの境界にあるだけはある。


 この女子トイレは、部活女子たちの、部活後のメッカだ。グラウンド狭しと駆けまわり、汗水たらしたスポーツ少女たちが、帰宅の前、着替えの前に立ち寄る場所だ。

 そのため、濃厚な芳気に満ちている。

 部活の間溜めこんで、ぶちかましたおしっこだって、煮詰まって色が濃くなっている。


 そのため、濃厚な芳気に満ちている。



 そりゃあ換気はしているのだろうが、学校のセキュリティ上、明け放して帰るわけにもいかないのである。




 つまり否応なしにそこは閉めきられ、濃厚な女子スメルは一晩をかけて熟成され、そしてマイハニーが産声を上げるのである。




 なんたること!

 なんたることだ!


 捨てるところがないとはこのことだ!



 男子トイレなどダークマターの吹き溜まりでしかないのに、女子トイレのなんと高等な事か!




 スポーツ女子たちの汗やおしっこや、経血となんやかや、こんなに男の胸を躍らせるものがほかにあるのか!






 残さずすべてを堪能しつくし、整然とした洗面台や、天井の隅の黒カビや、タイルの目地の水垢や、個室の奥の洋式便器まで、新品同然になるまで舐めまわして綺麗にしてやりたい気分だ!






 ふふふ、今日もちんしこがはかどりそうだぜ。

 今日もちんちんしこしこ、しこしこぴゅっぴゅだぜ。


 敢えて言おう、ちんしここそが人生だ!



 しこしこぴゅっぴゅこそが人生だ!




 ちんちんしこしこ、ちんちんしこしこ、しこしこぴゅっぴゅこそが人生だ!




 胸にため込んだマイハニー達を、俺は一度外に逃がす。

 即座にもう一度、肺を満たし、破裂せんばかりに吸い込む。


 胸にため込んだマイハニー達を、俺は一度外に逃がす。



 即座にもう一度、肺を満たし、破裂せんばかりに吸い込む。




 ――濃厚ッ!






 ちんしこジュニアが起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている!






 俺はザーメンタンクだ。


 俺はドラゴンブレスだ。

 俺は勇者の聖剣だ。



 俺はひとりドラゴンクエストだ。




 俺が、俺こそがちんしこマンだ――!




 ぼろん――ジュニアを俺は放り出す。

 いつまでも閉じ込めていては可哀そうなので、散歩をさせてやることにする。

 ほうらジュニア、おんもだよ。

 おまえは朝目覚めてから、ずっと遊びたがっていたから、好きにしたっていいんだよ。


 なんだって、ちんしこジュニアよ、おまえは水が飲みたいのかい!?


 ――それなら仕方がない。

 はしたないが、蛇口から直飲みをさせてもらおう。

 ジュニアよ、洗面台はどうだい?

 髙すぎはしないかい?


 大丈夫だ、お父さんに任せろ、お父さんはおまえのためなら、なんだって出来るんだぞ!


 ジュニアを慰めてやりつつ、ちんしこマンは洗面台に乗りあがる。

 ジュニアが自分でやりたいというので、蛇口の持ち手まで、俺は手を添えて案内してやる。

 ――しかし、ちんしこジュニアには、まだ一人勃ちは早かったか、唾液を擦り付けるばかりで、一向に持ち手は回らない。持ち手はべたべたになって、ぐるぐる苦戦して、やっとちょろちょろ水が流れ出した。


 うむ、幼女の初めてのひとりでできるもん!



 お母さんの付き添いなしに、初めてトイレにひとりで入り、緊張で出しきれないおしっこに似ている!




 これは最高で最強の天然水!




 さあジュニアよ、労をねぎらおう。

 たんとおあがり、おまえの射精したお水だよ。


 さあジュニアよ、労をねぎらおう。



 ああ、だめだジュニアよ、天然水をいただくどころか、距離感が合ってないじゃないか!




 それではおまえは、ふっくらとしたナイスなお口を、蛇口の先っちょだけよにこんにちはしただけじゃないか。




 なんというぶきっちょさんめ、このちんしこマンのジュニアとは思えない。

 いやしかし、この粗忽さが、きっと可愛いところなのだろう。


 いずれはおまえは、きっと素敵なお姉さんたちに気に入られ、よしよしされて歓びの雄たけびをあげるに違いない。



 可愛い可愛いちんしこジュニアよ、ぐつぐつのホワイトそーつはその時まで取っておいて、どうやら場所が悪いようだから、別の蛇口で水を飲もう。



 ちんしこマンは狼狽えない。

 一度や二度の失敗で、ちんしこマンは諦めない。


 ちんしこマンは狼狽えない。



 一度や二度の失敗で、俺は俺のちんしこジュニアを、見限るなんてとんでもない。




 ほうら、どうしたことか、整然と並んだ洗面台の、五つの内の五つ目で、上手にジュニアは持ち手を回した!





 喜んだあまり涎が増えて、ぐいぐい蛇口の先っちょだけよに押し付けて、美味しそうにぐびぐび飲んだ!






 ああ、この蛇口で、スポーツ女子が顔を洗うのだ。

 部活後くらいしか使われないここは、放課後まではちんしこパラダイスだ。


 一晩かけて熟成された、汗とおしっこと経血となんやかの女子スメルのように、今度はちんしこマンとちんしこジュニアが発酵するのだ。



 ああ、この蛇口で、スポーツ女子が顔を洗ったり水を飲むのだ。




 元気なちんしこマンのちんしこジュニアのジュニアたちよ、喉を鳴らしたスポーツ女子の、胃袋から子宮に転移して、彼女達を妊娠させるのだ!




 最にして髙!

 極にして上!


 つまり最高!


 そして極上!



 卒業までに、ママ友何人出来るかな!




 安心しなさいスポーツ女子たちよ、きみたちはひとりじゃない、ちんしこマンがついている!






 恐れることはないスポーツ女子たちよ、きみたちはひとりじゃない、ちんしこマンを既に知っている!






 サンクチュアリは都市型の高校の、狭苦しい敷地の、校舎の外れとグラウンドの境界にあった。日当たり良好とは言い難いもので、四六時中なにかの影になっていて、昼間だって薄暗くじめじめしていた。

 ちんしこマンは、颯爽とそこに至る。

 照明のスィッチをばちんとやれば、使い古されて黄色くなり、切れかかった蛍光灯がちらちらと瞬く。


 ちんしこマンは、颯爽とそこに至る。



 ちんしこマンとちんしこジュニアは、耽々と準備を整える。



 さて、俺は両手をひろげた。

 病院で検査のために、レントゲン写真を撮る時みたいに、大きく空気を吸い込んだ。

 今日も素晴らしい臭気、いや香りだ。

 酸味のほとばしった中に、アンモニアが混じり、排水口から汚臭が上った。

 今日も素晴らしい臭気、いや香りだ。


 これぞ熟成された、女子たちの汗とおしっこと、経血となんやかの結晶だ。



 特等のブルーチーズの、いいところを寄り合わせたみたいで、ちんしこジュニアがいっとう元気になった。



 ――濃厚!




 ――特濃!




 胸にため込んだマイハニー達を、俺は一度外に逃がす。

 即座にもう一度、肺を満たし、破裂せんばかりに吸い込む。


 胸にため込んだマイハニー達を、俺は一度外に逃がす。



 即座にもう一度、肺を満たし、破裂せんばかりに吸い込む。




 ――濃厚ッ!






 ――特濃ッ!






 五つ並んだ個室の、真ん中に俺は立ちはだかった。

 白磁の陶器が王座のように、妖しく煌めき輝きを放った。


 洋式便器は暗がりの中で、後光がまるで差したかのように、貯水タンクを背負っていた。



 ――またせたな、イッツ・ア・ちんしこタイム!

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