第2話 世界のちんしこ車窓から02

 ちんしこマンの朝は早い。夜も明けきらないうちに目覚め、支度を整えて朝食を摂り、弁当を持参して高等学校という思春期の監獄へと出かける。

 夜気の抜けきらないうちの早朝は、身を切り裂くような鮮烈な冷気に満ちている。

 小鳥の囀りを聞きながら、時に新聞配達の原付のアンちゃんとすれ違いながら、ザーメンタンクは武者震いのようにぶるると震える。

 待ちきれないのか、相棒よ。

 それとも単純に、寒さで縮んでいるのか、相棒よ。


 待ちきれないのか、相棒よ。



 たったの一晩、お預けを食ったくらいで、涎を垂らすような恥知らずか、相棒よ。




 いや、そうでなくおまえは、きっとすでに、ただ臨戦態勢を整えているだけなのだろう――!




 なんと頼もしいやつだろうか。

 今宵のおまえは、既に血に飢えているのか。


 なんと頼もしいやつだろうか。



 これは本日も、しこしこぴゅっぴゅがはかどりそうだ。



 昨晩は、ひとり四十八手の完成を目指し、新たなオナニー体位を開発、ごみ箱を妊娠させんばかりのシコティッシュ・フォールドを誕生させた。いつもせつない最後の一撃を放出させたときには、そいつはもはや、友達んちのおばちゃんが作ってくれたカルピスのように薄かった。

 だのに、この回復力だ。

 さすがにちんしこマンのザーメンタンクだ。


 スーパー銭湯の露天風呂で、自慢のふぐりを見せつける信楽焼きの狸のように、ずっしりと重たいではないか。



 さすがにちんしこマンのザーメンタンクは、レベルが違った回復力だ。



 夜気の残った早朝を、踊るように駆けて行く。

 ほとんど空っぽの鞄の中で、昨晩の残りばかりの詰まった弁当箱が、俺と同様にスキップで跳ねる。

 から揚げが入っているのか、おまえは。

 冷めてもジューシーなのか、おまえは。


 俺はいつでも、ホットでジューシーだ。



 俺のホットでジューシーなちんしこぴゅっぴゅを、ごみ箱が妊娠するくらいに、少女に味あわせてやりたいもんだ。




 求む、俺のちんしこぴゅっぴゅに耐えられる持久力と豊満バディを持った、黒髪ロングヘアの清楚系逆レイプガール!






 当方ちんしこマン、あなたのお腹のペットボトルを、濃厚なちんしこミルクで満杯にできる能力の持ち主です!






 ふふふ、応募が殺到してしまう。

 誰だ、学校を思春期の牢獄だと言った奴は。


 そいつに俺は言わねばなるまい、貴様は知能レベル幼年期相当だと。



 俺にしてみれば、学校という場所は、ちんしこパラダイスだ。




 学校には、俺をちんしこマンたらしめる、最強にして最凶のちんしこぴゅっぴゅスポットがあるじゃないか。






 早朝のそこは、誰にも邪魔をされない、言ってみればちんしこの聖域だ。






 相棒よ、待っていろ。

 もうすぐおまえの、伝説のドラゴンのファイアブレスみたいなザーメンを、ぶちまけさせてやる。


 相棒よ、待っていろ。



 寒さにやられたわけでなく、涎を垂らして武者震いを続けるおまえよ、すぐにおまえを解放してやる。




 まるで勇者の聖剣のような剛直が、ドラゴンのファイアブレスを放出して、ちんしこマンとはつまりひとりドラゴンクエストだ。




 母よ、俺のために、毎朝弁当をありがとう。

 母よ、ちんしこマンのために、毎朝弁当をありがとう。


 残り物の詰め合わせ在庫一掃セールとて、精のつくものを精一杯、毎朝こさえる産みの苦しみは理解をしているつもりだ。



 母よ、あなたのその息子のムスコを想った労力が、ちんしこぴゅっぴゅのみなもとだ。




 母よ、騙されているとはつゆ知らず、ちんしこマンのためにありがとう。




 俺は毎朝、部活動の朝練のため、早くに家を出ていることになっている。ところがきっぱりそいつは嘘で、俺は早朝に聖域で、ちんしこでひとりドラゴンクエストをプレイするのである。

 もちろん、俺は部活動に在籍などしていない。

 母は俺が、新しいエクストリームスポーツ、穴掘りっく・捨てロイドの精鋭を鍛える部活動、穴掘りっく・捨てロイド部に入っていると思っているが、そんなものは競技ごとまるっと存在しない。

 穴掘りっく・捨てロイドとは、五人一組になり穴を掘り、規定に達した穴にロイドと呼ばれる人形を捨て、埋め直すという競技だ。穴掘りの速さ、正確さだけでなく、ロイドの捨て方に芸術点があり、タイムだけでは勝敗がわからないという、画期的なスポーツだ。


 ――審判、捨てロイド完了しました!



 そんな競技、あるわけないだろうが母よ!




 騙し続けている俺も俺だが、信じ続けてるあなたもあなたで、頭のネジの二・三本どっか吹っ飛んでじゃないのかしら!?






 第一、うちの学校は、住宅地の真ん中にあるから、部活動の朝練は禁止だよ!






 なんとも世知辛いことだ。

 早朝にエイオーエイオーやっていると、子どもが起きてしまうだとか、朝の支度が落ち着かないとか、朝ファックに集中できないだとか、苦情が絶えないのだそうだ。

 まったく間違った世の中になった。

 住宅地にある高校は、おかげで甲子園を目指せなくなり、女子マネージャーに持て余した性春をぶつけるしかないのだ。


 まあでも、俺んちの間隣でエイオーやられたら、俺は国立競技場の爆破予告をするけど。



 サッカー部も野球部も、軽音楽部も落語研究会も、ちょっと女子にちやほやされるからって、調子に乗りやがって気に食わねえ。




 こちとら架空のスポーツの、架空の部活動の、しかも競技者でもないマネージャーだと偽ってんだ。






 ――審判、うちの捨てロイド、芸術点高くないですかやったー!






 虚しいことだ。

 タイム測定のためとストップ・ウォッチまで買った。


 虚しいことだ。



 ストップ・ウォッチは、最速ちんしこタイムを測るためにしか使ったことがなかった。




 おまえが先に抜け、俺はおまえを追い越すぜ、なんと最速三十二秒で、クララを勃たせて発射できらあ!






 ――審判、うちの捨てロイドに謎の減点があるんですけどぉ!






 これだから、採点競技はだめなんだ。

 ルールの見直しが必要だ。


 これからは、純粋にタイムだけで競おうか。



 穴掘りっく・捨てロイドなんてものに、思考のリソースを割くことこそが、一番の人生の無駄じゃなかろうか。




 だいたいなんだよ、捨てロイドって、ミセス・ロイドは別に、妙齢のご婦人のロボットじゃないぞ。




 小鳥の囀りを、俺はまた聞く。

 新聞配達のアンちゃんと、俺はまたすれ違う。


 夜気の残った、早朝の切り裂くような冷気に、ザーメンタンクが武者震いをしている。



 高等学校という、思春期の牢獄に、俺はカウパー氏線液を迸らせるように辿り着く。




 ちんちんしこしこ、ちんちんしこしこ、ひとりドラゴンクエストのため、絶対不可侵たる聖域に滑り込む。






 うっすらと暗いそこで、じめじめした臭気を吸い込み、そして大きく吐いて――。






 ちんしこマンの朝は早い。夜も明けきらないうちに目覚め、支度を整えて朝食を摂り、弁当を持参して高等学校という思春期の監獄へと出かける。

 夜気の抜けきらないうちの早朝は、身を切り裂くような鮮烈な冷気に満ちている。

 小鳥の囀りを聞きながら、時に新聞配達の原付のアンちゃんとすれ違いながら、ザーメンタンクは武者震いのようにぶるると震える。

 待ちきれないのか、相棒よ。

 それとも単純に、寒さで縮んでいるのか、相棒よ。


 待ちきれないのか、相棒よ。



 たったの一晩、お預けを食ったくらいで、涎を垂らすような恥知らずか、相棒よ。




 いや、そうでなくおまえは、きっとすでに、ただ臨戦態勢を整えているだけなのだろう――!




 なんと頼もしいやつだろうか。

 今宵のおまえは、既に血に飢えているのか。


 なんと頼もしいやつだろうか。



 これは本日も、しこしこぴゅっぴゅがはかどりそうだ。




 これは本日も、しこしこぴゅっぴゅがはかどりそうだ。






 一晩熟成された、少女の濃厚な香りに満ちた、そこは校舎の外れの女子トイレ!



 ――うむ、芳醇!

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