第86話 南方連合の思惑
南方連合の王たち、村瀬、辻、下田、倉敷、中森は、チャンネルを開いて、会議をしていた。もちろん黒崎に対抗する作戦を考える為であった。
「まず、レイディモン神帝国の現状の戦力だけど、最低でも200万の兵は有している。魔物の軍も、相当数が確認されてるので、こちらも更に召喚数を増やして、戦力を増強する必要があるな」
「召喚数を増やすって言っても、さすがにオリハルコン硬貨に限度があるからな・・」
「それだけど、良い情報があるんだ」
そう言いだしたのは
「なんだ良い情報って」
「スランキバニアって国が、ルーズ山脈の麓にあるんだけど、その国に大きなオリハルコン鉱山が見つかったて話があるらしい」
「それは本当か!」
オリハルコン鉱石が取れる鉱山は、大陸でも数えるほどしか存在しない。そのほとんどが、中央に集中していて、その財力を背景に、中央七大国は強大な力を有していた。
中央以外のオリハルコン鉱山は、三ヶ所しかなく、現状、南方には一つも無い事から、その話が本当であれば重大な情報であった。
スランキバニアは、南方連合の
「俺と、春道の国からも援軍を送るから、すぐに侵攻しよう」
スランキバニアの兵力は、二十万ほどとも言われている。クフナシュの戦力だけでもなんとか占拠できると思うが、何かあったことを考えて、援軍を送ることになった。
「それとレイディモンの防衛線だけど・・」
「わかってる。それは俺と風香で今、風香のサルベン王国に、巨大な城壁を作ってる。そこが完成すれば、百万規模の兵力で防衛できる、大防衛線が完成する」
南方連合が手に入れた情報を、高い情報力を持っている黒崎も、当然のように掴んでいた。
「スランキバニアの話が本当なのなら、すぐにでも手に入れたい」
召喚ができるクラスの王たちにとって、オリハルコンは貴重な物であるのは間違いない。黒崎にもオリハルコン鉱山は魅力的な話であった。
レイディモンは、スランキバニアを侵略する為に、百万の兵を編成して向かわせた。自国から、スランキバニアまでの道筋に、三つの国が存在するので、そこも侵略するのを計算に入れてそれだけの大兵力を用意していたのだ。
侵略を開始して、最初の国家は、わずか七日で陥落した。そのまま、補給線を確保しながら、次の国へと侵攻する。2カ国目は五日で陥落する。この国にも、補給線を確保するだけで、すぐに3カ国目へと侵攻した。
3カ国目の国は、ルオーニカという国で、数日で陥落した二国とは違い、総兵力五十万の軍事大国であった。だが、それも黒崎には計算済みで、ルオーニカとの戦いには、魔物の軍勢も参戦させていた。
レイディモン軍がルオーニカの国境を越えると、すでに完全な防衛線を引いて、ルオーニカ軍が待ち構えていた。五つの軍団、五十万の兵が、準備された砦や、要塞によって、決死の戦いを仕掛けてくる。
最初は、レイディモンの攻撃を、完全に防いでいたルオーニカ軍であったが、飛行ユニットで構成された魔物の部隊が登場してからは戦況が傾く。次々と砦が落とされていき、頼みの巨大要塞も、ワイバーンなどの飛行混戦部隊により、城壁の上空を制圧されて、あっけなく陥落する。
結果、二十日の激戦の末、ルオーニカの主城は陥落する。だが、レイディモンに対して、これだけの戦いを繰り広げたのは、NPC国家にしては、かなり強い国であったことがわかる。
そして、いよいよスランキバニアへ侵攻したレイディモンであったが、すでにそこには、南方連合の大部隊が到着していた。もちろんスランキバニアも、侵略者に対して、黙って見ていることはなく、軍を動かしている。
ここに、レイディモン、南方連合、スランキバニアの、三つ巴の戦いが始まろうとしていた。
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