Episodes[10] // 目がぁ……
「ふぉおおお、目がぁ……真っ暗くらくらデス!」
ツバメの間の抜けた雄叫びが、建物内に轟いた。
ツバメは身を起こし、自らの目の前に手をかざした。しかし、その視線は、手のひらではなく、アカネでもなく、どこか遠く、雲の向こうに向いていた。
アカネはツバメに駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
アカネはツバメの手を取って、体を支える。
「ふぉわっ、アカネさん、話ができるですか?!」
「はい」
「うおおおお!ずっと、ずっと、お話できなくて辛かったでべそ」
「何をしたんですか」
アカネはやや焦燥した口調で尋ねたが、ツバメは喜びに満ちあふれた馬鹿でかい声で応じる。
「
「……そんな無茶な!」
「しょーもないリスクを恐れてどうするデスか!」
次の瞬間、パチンと大きな音が響いた。反響音がキンと耳をつんざく。ツバメの頬には赤い手形が、そしてアカネは自らの手を押さえて、顔を歪めていた。
暴力行為はだめ――忠志はそう言おうと口を開いたが、声が出なかった。
あまりにも突然のことに動揺を隠せない。
ツバメは両手を挙げて抗議する。
「アカネさん!? 何するですか? うぐ!?」
アカネはツバメの胸ぐらを掴んだ。
「リスクをもう少し恐れるべきです! わたしたちの不注意で、何人が命を落としたと思ってるんですか! あなたも死ぬかも知れなかったんですよ!」
そして、アカネの頬にぽろぽろと水滴が輝いた。
「どれだけ心配したと思ってるんですか」
「アカネさん、ぐ……るじい……苦しいでつ」
「本当に分かっているんですか!?」
「……分かってる、です。私は好奇心に抗えなかった……」
「その好奇心を少しはコントロールしてくださいって言ってるんです」
ようやく、ホシが割って入った。
「ツバメさん、事件については後で聴取します」
「ぐぬぅ……アカネさんは悪くないです。チョーカーを外して、代わりに私を逮捕するデスよ……」
そう言って、ツバメは明後日の方向に両腕を差し出す。
ホシはツバメの腕を押し下げた。
「そのつもりはありません。そのようなことに、時間を費やす時間的猶予はないのです」
忠志は明るい口調を努めた。
「じゃあ、これでツバメさんの力も借りられますね。改めて、僕たち四人で、この世界的危機に立ち向かいましょう」
すると、ツバメは首をかしげた。
「五人じゃないデスのん?」
「え?」
「いや、何となく、もう一人いる気がしてたです」
アカネは肩をすくめ、あたりをキョロキョロと見回した。
「えっ……怖いことを言わないでください」
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