第26話 顔合わせ(下)


 異世界から連れてきた家族と仲間を、地球の友人に紹介する。


「ご存じ白猫ブランとその姉妹黒猫ノワール、そして、猪っ子コリンです」


 皆から歓声と温かい拍手が湧く。


「そして、こちらが、俺たちの頼りになる存在、リーヴァスさん」


 リーヴァスさんが立ちあがり、頭を軽く下げると、悲鳴に似た歓声が上がった。


「キャー素敵ー!」


 これは、サブローさん。


「「かっこいいーっ!」」


 黄騎士、緑騎士も、リーヴァスさんをハート形の目で見ている。

 全年齢にモテるのが、リーヴァスさんだね。


「初めまして、リーヴァスと申します。

 シローの家族でもあります。

 よろしくお願いします」


「素敵な声ね~」


 桃騎士がうっとりしている。


「最高」


 黒騎士が、翔太以外に赤くなるとは。



「続いて、異世界に着いた当初から、ずっと俺を支えてくれている、ルル」


「みなさん、よろしくお願いします」


「うーん、可愛いわね~、嫉妬しちゃうわ」


 サブローさんが、体をくねらせる。



「元獣人会議議長であり、ナルとメルのたよりになるお姉さん、コルナ」


「ご紹介していただいた、コルナです。

 どうかよろしく」


「うはっ、あの耳、可愛すぎる!」

「モフモフ尻尾しっぽ素敵!」


 黄騎士と緑騎士が、興奮している。



「俺たちの歌姫、コリーダ」


「ありがとう、シロー。

 みなさん、よろしく」


 コリーダは、短い曲を歌った。

 騎士たちの目が点になる。


「な、なに、この美女!

 歌も上手いなんて悔しすぎる、キーっ!」


 サブローさんが、ハンカチを口にくわえ、引っぱる。


「「素敵~!」」


 黄騎士と緑騎士が、うっとりした顔をしている。



「パーティポンポコリン結成時からのメンバー、ミミ。

 彼女は、『ポンポコ商会』の名づけ親だよ」


「ミミです。

 よろしくー」


「猫耳かわい~、愛の魔法をニャ~ン♪」


 桃騎士のリアクションに、ミミが引いている。



「次は、同じく結成時からのメンバー、ポルナレフ」


「こんにちは、ポルナレフです。

 ボクの事はポルと呼んでくださいね」


「ポル、良い」


 黒騎士がボソッとつぶやく。



「最後に、俺たち家族の娘、ナルとメル」


 ルルをはさんで座っていた、ナルとメルが立ちあがる。


「「こんにちは」」


「ひゃ~、綺麗なたちねえ」


 白騎士が、目を丸くしている。


「「カワイー!」」


 黄騎士、緑騎士がナルとメルに向けて手を振っている。


「キュート」


 黒騎士がささやく。


「可愛い二人に、愛の魔法をどーん♪」


 桃騎士の行動に、ナルとメルはキョトンとした顔をしている。


「マンマ、『どーん』ってなにー?」

「なにー?」


 二人に尋ねられ、ルルが困った顔をしている。

 ナルが俺の方を向いた。


「パーパ、『どーん』ってなにー?」


「えっ? 

 シローちゃん、あんた、この娘たちのパパやってるの?」


 サブローさんが、驚いた顔でこちらを見る。


「ああ、ナルとメルは、俺の娘だよ」


「で、でも、年が――」


 サブローさんが言いかける。

 桃騎士がハートのステッキでサブローさんの頭をポコンと叩く。


「愛がないヤツは、騎士失格!」


「「やーい、失格ーっ!」」


 黄騎士、緑騎士がすかさず賛同する。


「騎士じゃない」


 黒騎士のぼそっとした発言を聞いたサブローさんが、涙目になっている。


「シ、シローちゃん助けて~」


 ナルとメルを座らせると、俺が言葉を続ける。


「あと、ヒロ姉、立ってくれるかな」


「え? 

 私?」


「ヒロ姉は、異世界で『聖騎士』に覚醒しました。

 そして、マスケドニア国の子爵となりました」


「「「ええーっ!?」」」


 騎士たちと柳井さん、後藤さんはもちろん、ルルたちまで驚いている。


「翔太、立ってくれる?」


「なに? 

 ボーさん」


「翔太は、魔術師に覚醒しました。

 そして、正式にアリスト国プリンスとなりました」


「「「ええーっ!!」」」


 これも、知らなかった者、全員が驚いた。


「プリンスが本物のプリンスに!! 

 なんって素敵なのっ!」


 胸の前で両手を合わせた白騎士サブローが、うっとりした顔をする。


「「キャー、プリンス×プリンス」」


 黄騎士、緑騎士は、新しい言葉を造ったようだ。


「超最高」


 黒騎士が、ぼそりと言う。


「真のプリンスに、愛をプリプリどーん♪」


 桃騎士の言葉に、娘たちが反応する。


「パーパ、『プリプリどーん』ってなにー?」

「なにー?」


 どうも、この環境は、子供の教育上よろしくないようだ。

 俺は呆れながらも、以前と変わらない地球の騎士たちに安心するのだった。

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