アニメの原案に挑戦してみる

 ちょっと時間が戻るが、2018年はプロジェクトアニマという企画が行われていた。

 小説、脚本、企画書、漫画、動画などでオリジナルアニメの原案を募集する企画である。


 僕がその存在を知ったのは4月13日のことだった。

 三つの部門に分けての募集。第一弾はSFあるいはロボットアニメとあった。


 せっかくの企画だから何か出してみたいと思ったのだが、締め切りが二日後の15日だった。


 とても小説や脚本は間に合わない。

 そこで企画書の形式を使うことにした。

 創元SF短編賞に応募した「グロウレインの祝祭」をベースにした、荒廃世界で女の子四人組が暴れ回る話だ。


 タイトルは「世界の夜明けとワールドエンド・サンセット」。終末世界の日が沈んで、新世界の夜明けがやってくるという意味を込めた。


 世界は戦争で崩壊しているが、戦後生まれの主人公達にとってはそれが日常。なので毎日をドタバタはしゃぎまくって生きているのだ。キャッチコピーとして「ワールドエンド・ガールズライフ」という文章をつけた。


 企画の狙いと想定する視聴者層、全体のあらすじ、キャラクター一覧、登場する未来の生物や植物などの設定を書き込み、公式サイトから送った。


 第二弾は異世界・ファンタジーだという。

 これは7月締め切り。

 今度は最初からチェックしていたので募集開始された5月に動き出した。


 第一次世界大戦をベースに、舞台を異世界に移した架空戦記だ。

 魔術が発展した世界で第一次大戦のような戦争が起きたらどうなるか――とイメージしながら脚本を書いた。


 僕は4月にネットフリックスで映画「二百三高地」を見ていた。日露戦争の旅順攻囲戦の話である。ロシア軍を単なる悪役として描かず、戦争の善悪の主張もなく、戦場の人間と地獄を描破した作品として強い感銘を受けた。


 直後に『ゴールデンカムイ』のアニメが始まったりして、頭の中は日露戦争から第一次大戦あたりの世界観で埋め尽くされていた。


 例えばみんな魔力を持っているが、特定の媒体を通さないと外に出せないという設定があったらどうなるか? とまず考えた。

 銃がその媒体でできていて、魔力が弾丸になるのなら、兵士の装備は普通の戦争と異なるものになる。砲弾も魔力のかたまりになるなら、輸送隊の仕事も大きく変わる。軍需産業もまったく違う発展を遂げているはずだ。

 そんなシミュレートを繰り返して全体を固めていった。


 魔術を主体としつつも、炎や風が飛び交うわけではないから、泥臭い戦いが中心になる。主人公達は砲弾の雨の中を突撃し、塹壕を突破していくのだ。


 が、前の話で書いた通り消防団の大会練習に参加しなければならなくなったため、1話の脚本を書くのがやっとだった。


 その1話をエブリスタにアップして、続きも書ければ書こうと思ったが、とうとう書けずじまいで締め切り日を迎えてしまった。


 第三弾はキッズ・ゲームアニメとのことだったが、これには参加しなかった。


 そして結果だが、第一弾、第二弾ともに一次選考ではねられた。

 どちらも万全のものを出せたとは言えなかったので仕方ないといえば仕方がない。


 しかしどちらも世界観自体はかなり作り込んだので、強い思い入れができた。

 いつかプロデビューしたらなんとかしてアニメ化まで持っていってやる、と思った。

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