相棒、ついに逝く

 1月の下旬。

 PCの動きが怪しくなってきた。

 起動にやたら時間がかかり、頻繁にフリーズしかける。これまでそんなことはなかったので不安を感じた。

 そしてある日、ついに起動しなくなった。


 2009年末に買ったPCだ。

 その道に詳しい友人に選んでもらい、当時としてはかなりスペックの高いものを買った。しかし、あれからほぼ7年。停電や地震も食らっているし、限界が来ていてもおかしくない。


 僕はすぐ、PCデポに持っていった。

 調べてもらったが、修理すると新品を買うのと同じくらいの金額が必要になることがわかった。


「思い切って新しいものを買っていただいた方が……」


 という店員さんのアドバイスに従うことにした。


 僕が使っていたのはPCデポのオリジナル製品でOZZIOオッジオというブランドものだ。非常に使い勝手がよかったので今回も同じタイプにしたいと思った。


 しかし、アパート代を出したあとである。ここでさらに出費となると口座の残高が大変なことになってしまう。上限は10万。それ以上出したら生活がやばい。


 そうなると、選ぶのが大変だった。

 初代のノートパソコンが早々壊れ、二代目となったのがこのデスクトップ型の相棒である。

 やはり相棒はハイスペックだったようで、5万6万くらいの同じ機種だと最新型でもスペックで劣ってしまう。二代目は本体が12万、そこにオフィスソフトなども含めて15万くらい出したはずだった。あの頃は残業代がガンガン入っていたのでためらいなく買えたが、今はそうはいかない。とはいえこの道具に将来を賭けるのだから、値段だけで選ぶわけにもいかない。妥協点がなかなか見つからなかった。


 店員さんに相談すると、「LENOVOなら最初からワードエクセルが入ってますよ」と言う。

 紹介してもらった機種はOZZIOより一回り小さく軽い型だったが、スペックを見ると二代目より上だ。何より、全部入って8万ちょっとというのがありがたい。


 僕としてはOZZIOに未練があったのだが、割り切ってLENOVOを買った。

 二代目からのデータ救出は無事成功したので全部移してもらい、三代目を受け取った。


 早速つけてみた。

 二代目より起動速度が圧倒的に速く、全体的にサクサク動いてくれる。

 それはいいが、大きな問題があった。

 二代目はキーボード専用の差し込み口があって、USBタイプではなかった。そのため三代目につなぐことができないのだ。付属してきたキーボードがやたら使いづらく、怪電波みたいなミスタイプを連発した。押し込みも浅くて違和感が尋常じゃない。


 耐えきれず、すぐキーボードを探しに行った。

 店頭で打ち込んでみて、二代目に近い感覚のものを探した。その結果、ようやく一つだけ似たタイプを見つけた。

 しかし、やはり7年使ったキーボードの感覚はなかなか抜けず、しばらく原稿には誤字の嵐が吹いていた。


 こうして二代目と別れを告げ、僕は三代目で原稿を書くことになった。

 今もこの三代目を使っている。

 が、お金に余裕ができたらまたOZZIOの最新型を買いたいと思っている。三代目やネットカフェのPCを触っていると、どうしても二代目の便利さを思い返してしまうのだ。それと、三代目にはDVDの再生機能がないので、やはりその機能もついていてほしい。

 僕はOZZIOユーザーでいたいのだ。

 ――と、力説したが僕はけっしてPCデポの回し者ではない。あくまで個人が比較してみての感想である。うそじゃないですよ。

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